寄稿
デジタルメディアの世界潮流を読み解く
ジョン・キム 慶応大学大学院准教授
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2011/7/11  1/2ページ

【第2回】Google参入で本格化するスマートテレビ競争

ジョン・キム氏 ジョン・キム氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授。1973年韓国生まれ。日本に国費留学。BSフジ「プライムニュース」ブ レインキャスター。今年3月までハーバード大学インターネット社会研究所で在外研究。新著に『逆パノプティコン社会の到来』(Discover 21)。

FacebookやTwitterを中心にデジタルメディアの存在感は増していくばかりです。日本、米国をはじめ、世界のデジタルメディア事情について、ジョン・キム慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授に解説をしていただきます。第2回目はGoogle参入で本格化するスマートテレビ市場についてです。

スマートテレビの台頭

 携帯電話のスマート化に象徴されるスマートフォンが近年急速にそのプレゼンスを広げている中、テレビの世界でもスマートテレビに象徴されるスマート化への流れが本格化している。スマートテレビといってもその概念定義は多種多様であるが、本稿では「テレビとインターネットの機能を同時に提供できる次世代マルチメディア・デバイス」と定義することにする。その主な機能としてはいわゆるVOD(Video On Demand)サービスに加え、インターネット検索機能、アプリケーション・ ダウンロード機能、他のデバイスとのシームレス連動機能、等がある。


 ではなぜ、ここにきてスマートテレビが台頭してきたのだろうか。 その背景を考えてみよう。第一に、利用者のメディア消費の中でテレビが占める比重が依然として大きいことが挙げられる。ここでいう“比重”は、利用時間と利用者数で測ることができる。例えば、2009年の統計で米国の若者のテレビ消費時間は1日7時間30分。1週間で11時間30分のインターネット利用とはまだまだ大きな差がある。利用者数においても、全世界のテレビ視聴者は40億人と20億人のネット利用者を大きく上回る。

主戦場であるテレビの広告市場

 メディア消費での比重が高いということは広告市場でのプレゼンスが高いことを意味する。これは近年の北米の広告市場を見ても明らかである。米国に代表される北米の広告市場は、日本と同様、4マス市場の衰退傾向が見られる。新聞、雑誌、ラジオの広告収入が下落を続けているのに対し、ネット広告は高い成長を見せている。一方、テレビ広告はというと成長率は低いものの、依然として全体広告市場の約4割のシェアを持っている広告市場の主戦場である。

図1、媒体別広告の推移(出典:電通 2010年「日本の広告費」
図1、媒体別広告の推移(出典:電通 2010年「日本の広告費」)

 そこでネット広告で圧倒的な支配力を持っているGoogleや、iPhoneを中心とするモバイル広告市場で急速にそのプレゼンスを高めてきているアップルが、テレビ市場に関心を寄せているのはある意味、当然である。つまり、米国のネット広告市場の7割のシェアを持ち、収益の約97%をネット広告で得ているGoogleとしては、ウェブで築いた支配力をアンドロイド戦略に象徴されるモバイル分野や、Google TVに象徴されるスマートテレビ分野に拡大適用していきたいと考えている。一方で、アップルは既存のMac PCに加え、iPod-iTunesで築いた音楽や映像コンテンツ分野での支配力、iPadに代表されるタブレットPCでの躍進、iPhoneによる他を圧倒するモバイルプレゼンスを基盤に、Google同様スマートテレビ分野への積極的な攻略を始めている。

>> アップルが発売したスマートテレビ 「Apple TV」とは?


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