寄稿
デジタルメディアの世界潮流を読み解く
ジョン・キム 慶応大学大学院准教授
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2011/6/13  2/2ページ

【第1回】ソーシャルメディアへの流れが止まらない


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Facebookの影響力

 このように日常のコミュニケーションやエンタテインメントそしてビジネス用途で活用されるFacebookであるが、ここにきて政治的な用途、社会的な用途でも使われ始め、社会へのその実体的な影響力の発揮が世界各地で見られている。


 なかでも代表的な事例として、北アフリカ諸国で起きた政変におけるソーシャルメディアの役割である。今年始め、チュニジアでは20年以上続く長期独裁政権、ベン・アリ政権に対する反政府デモにおいて、FacebookやTwitterそしてYou Tubeといったソーシャルメディアが、市民の勇気を力に変え、長期独裁政権を崩壊させる上で重要な役割を果たした。


 革命の原因となる問題は以前から存在していた。高い失業率、食料難、強圧的な長期政権、不況など。チュニジアの人口は約1000万、イスラム多産主義で人口の65%が25才以下の若い層である。全人口の30%がネット利用者で、20%がFacebook利用者である。しかし、決して自由な言論環境、ネット環境ではなかった。「国境なき記者団」の調査によると、チュニジアのネット上での表現の自由度は178ヶ国の中で164位と、言論が非常に抑制されている。しかし言論統制を24年も効果的に行使してきたチュニジア政府もソーシャルメディアを統制することは出来なかったようだ。


 ジャスミン革命と呼ばれるチュニジアでの革命は早速近隣諸国に飛び火し、例えばエジプトではこちらも20年以上続いた長期独裁のムバラク政権が1ヶ月足らずで市民の力に屈服した。市民による反政府デモの計画・実行においてFacebookが積極的に活用されたということでエジプト革命は「Facebook革命」とも呼ばれるくらいだ。


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日本のソーシャルメディアと震災の影響

 日本でもソーシャルメディアは急速に普及している。例えば、Mixi、GREE、mobageといった日本を代表するSNSを運営する3社(ミクシィ、グリー、ディー・エヌ・エー)はそれぞれ2000万人以上の会員を有していると言われている。しかし、それが市民によって政治的な目的で利用され、それが日本社会に対し、実体的な影響力を及ぼした事例はほとんどない。日常のコミュニケーションやゲーム等エンタテインメントにソーシャルメディア利用が偏重している傾向が強い。

図2、日本における主なソーシャルメディアの訪問者数推移
(出典:ニールセン・ネットレイティングス調べ)
図2、日本における主なソーシャルメディアの訪問者数推移
(出典:ニールセン・ネットレイティングス調べ) 

 そうした中、3.11東日本大震災が起きた。震災直後、通信ネットワークが大きな打撃を受け、機能しなかった。しかし、インターネットは生きていた。携帯電話が繋がらない中で、Twitterなどのソーシャルメディアを通じて、震災関連情報を入手し、安否の確認をするケースが多くあったと言われる。震災時のライフラインとしてのソーシャルメディアの可能性が垣間見られたわけだ。それもあって震災以降、将来的な震災に備え、安比確認の手段としてのTwitterに家族全員がアカウントをとる事例も増えてきている。


 また震災が起きてから、既存のマスメディアとソーシャルメディアが連携し、震災関連情報のメディアを超えたシームレスな流通が行われた。更に原発事故以降、東電や政府の情報公開に対するある種の牽制機能をソーシャルメディアが果たしてきたところがある。


 ライブドア事件以降、世間のネットに対する視線は冷ややかな眼差しがあった。それが今回の震災で日本社会におけるソーシャルメディアの社会的な意義が幾分かは認められるきっかけになったのではないか。一方的な情報ではなく人間同士の双方向の関係性が主役になるこれからのソーシャルメディア時代。それは出口の見えないトンネルの中で迷走する日本社会にヘッドライトを与えるかも知れない。

>>本格化するスマートテレビ競争とは? 第2回を読む

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