寄稿 よくわかる品質コストマネージメント 伊藤嘉博 早稲田大学教授
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2011/4/11  1/2ページ

【第2回】品質コスト活用の勘どころ

伊藤嘉博氏 伊藤嘉博氏
早稲田大学商学学術院教授 。博士(商学)。1953年生まれ。1981年早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了。成蹊大学、神戸大学大学院教授などを経て2005年より現職。趣味はオールドトイと時計のコレクション、旅行。

景気不安定の中、企業の業績悪化の打開策に有用な品質コストマネジメントについて早稲田大学の伊藤嘉博教授がわかりやすく紹介。第2回は企業における品質コストの導入や、品質コストの活用方法について解説していただきます。


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品質コストはもとからTQC・TQMの一部

 前回は品質コストの集計と分析がいまなぜ必要とされているかを解説したが、わが国では品質管理に効率性を求める品質コストという考え方にアレルギーをもつ人も少なくない。なかには、品質コストはゼロディフェクト(=欠陥ゼロ)を標榜するTQC*1TQM*2の基本理念に反するといった見解すらある。だが、これは明らかに誤解である。第一、品質コストはもともとTQCおよびTQMの主要な構成要素であった。


 TQCは1950年代にGEの品質担当エンジニアであったファイゲンバウム(Feigenbaum, A. V.)によって提唱され、当時に品質コストの4つの分類(表1参照)も彼によって示された。周知のように、TQCはその後わが国の品質管理実践の代名詞とされるまでに至ったが、品質コストはほとんど注目されることはなかった。他方、TQMは米国IT&T社の副社長であったクロスビー(Crosby, P. B.)が1979年に提唱したもので、そこでは品質コストは主役級の役割を演ずるとされた。

表1、品質コストの分類(出典:Feigenbaum, A. V. Total Quality Control: Engineering and Management, McGraw-Hill.1961)
表1、品質コストの分類(出典:Feigenbaum, A. V. Total Quality Control: Engineering and Management, McGraw-Hill.1961)

 すなわち「品質コストを活用すれば、品質はタダで手に入る」と彼は豪語したのである。お金をかけずに品質を高めようというのはどう考えても虫のよすぎる話だが、はたしてこれは本当だろうか。実は、品質改善に必要な資金は失敗コストの低減を通じて捻出するというのが彼の言葉の真意であり、したがって初期投資は必要で、追加投資は必要ないと理解したほうがよい。


 ともあれ、TQMは闇雲に品質の向上を目指すのではなく、きちんと利益に結びつく品質改善を志向する。それゆえに、必要なところには十分にお金をかける一方で、顧客にとってはどうでもいい部分は徹底的に節約せよと促す品質コストはまさにピッタリのツールであったといえよう。

>>品質コストの集計の仕方、活用法とは?


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