会計コラム(連載:第3回)「シンプルで明快な内部統制に向けて」: コラム : ハミングヘッズ

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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
(動画あり)

公認会計士
松澤大之・著
「捨てる技術で能率アップ
リングノートで
ムダな勉強をやめなさい」
(徳間書店)


公認会計士 松澤大之
会計コラム
監査現場の会計士の視点から、内部統制や会計についてお届けします。

第3回 テーマ 「シンプルで明快な内部統制に向けて」

内部統制報告書、初年度の提出を終え、
今、考えるべきは“自社規定ルールは本当に機能しているか”

 2009年3月決算企業の内部統制報告書が6月に提出され、初年度の状況が報告されました。提出会社数2670社のうち、評価結果に「重要な欠陥あり」と記載したのは56社*。この数字が多いか少ないかはさておき、内部統制2年目に重要な事のひとつは、1年目に作った仕組みが、自社の業務や文化にマッチしていたかという見直し作業です。つまり内部統制のうち「監視・評価・是正」といった仕組みの出番なわけですが、実際の現場ではうまく生かされていない場合が多いように思います。
* 金融庁「平成21年3月決算会社に係る内部統制報告書の提出状況について」より

 内部統制2年目の今年は、全社をあげて取り組んだ規定ルールが、自社にマッチしているかの見直しが非常に重要になってきます。例え同じ業種であっても、会社が違えばその文化や風土もおのずと異なってくるように、同じ内部統制も理想モデルは会社によって異なります。だからこそ業務の中でうまく機能しているかの見直しが重要になってくるわけです。

 これらは、「モニタリング」と呼ばれ、内部統制の基本的要素として位置づけられた重要な作業であると同時に、これがうまく機能するか否かで内部統制のクオリティが決まるといっても過言ではありません。しかし実際にはこのシステムを生かしきれていない企業が多いように思います。

内部統制におけるモニタリングプロセス
 モニタリングとはまず、業務プロセスの運用を「監視」して、そのフローがうまくいっているかどうかの「評価」をする。結果、改善する部分があれば「是正」を行う。そして実際に「運用」してみて、またそれを「監視」し、結果を「評価」し、また改善する部分があれば「是正」するというやり方です。これを繰り返すことにより、水がろ過されるように、業務の透明度が増していくイメージです。

 これら一連の目的は、内部統制を自社業務のフローに沿ったシンプルで運用しやすい形へと進化させる事です。10個チェックしなければならなかった業務が、3個のチェックだけで済むようになれば、効率がアップするだけでなくミスも防げる、つまりリスクコントロールもシンプルになります。このように、見直しの仕組みがきちんと成立していることは、スムーズな業務進行にも繋がるのです。

継続的なモニタリングにより、内部統制がシンプルになります

 内部統制の目的を達成するための「6つの基本的要素」のうち「モニタリング」について、意見書には下記のようにあります。

 モニタリングとは、内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスをいう。モニタリングにより、内部統制は常に監視、評価及び是正されることになる。モニタリングには、業務に組み込まれて行われる日常的モニタリング及び業務から独立した視点から実施される独立的評価がある。

出典:企業会計審議会「財務報告に係わる内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係わる内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」より抜粋

 ここにある「日常的モニタリング」とは現場担当者による実作業の検証であり、「独立的評価」とは経営者等が、広い視野から俯瞰することで行われる評価です。現場担当者による細かいチェックだけでなく、経営者が業務フローに対して抱く違和感、例えば「キャッシュフローが思い描くイメージと違う」といった“感覚”も、モニタリングには必要になります。

 時間をかけずにモニタリングを行える仕組みは、多忙な経営者にはもちろん、一般社員にとっても重要です。なぜならあれもこれも全てチェックするというモニタリングでは、それ自体に膨大な時間と労力がかかり、業務を圧迫してしまうからです。  しかし短時間で監視・検証できる仕組みをもつ企業は多くないのが現状ではないかと思います。そのような仕組みを持つためには「どのような情報を把握しておけば良いか」「どこでボロが出やすいか」のポイントを抑えた判断が重要になってくるからです。

監査人が要求する資料・データは
有効なモニタリングのヒントに
 有効なモニタリング作成のヒントとして、会計士が監査の際に利用している情報、あるいは会計士から「こういう資料はありませんか?」と要求されるような資料やデータ(例えば、「値引き一覧表」「返品一覧表」等、業務フロー内での“例外”扱いとなる値のリスト)をもとに、アレンジすることも有効なはずです。なぜなら会計士は限られた時間の中で、クライアントに発生している異常を見抜かなければならず、常にそのノウハウを培っているはずだからです。またそのような一覧表を、自動的に作るシステムを作成するなど、「自分達が欲しい情報を作りだす」という発想からモニタリングの仕組みを考えるのもひとつの手段だと思います。 

 モニタリングは内部統制制度における義務であるというだけでなく、後で検証に苦労しない業務システムを作れば、現場の作業はラクになり、結果的に快適なオフィス環境を作ることができると言えます。内部統制で作り上げたシステムをうまく機能させるためにも、モニタリングの良し悪しが要となってくるのです。

モニタリングの精度が上がれば、業務自体もラクになります

(コラム掲載日:2009年8月27日)

<会計コラム連載>

第1回「内部統制プロジェクトチームの疲弊」 
膨大な量のマニュアル作成、各種システムの改修など、内部統制対策で疲弊する企業と問題点とは。

第2回「内部統制で変革すべきは“個人の意識”」 (動画あり)
従業員の感情や行動など“個人の意識”こそ、内部統制の有効性を示す大きなバロメータに。

第3回「シンプルで明快な内部統制に向けて」 
内部統制報告書、初年度の提出を終え、今、考えるべきは“自社規定ルールは本当に機能しているか”

第4回「内部統制におけるITの役割」 
PC操作が日常化した企業環境において、ITによる内部統制の守備範囲は、“業務システム”だけではないはず。

公認会計士 松澤大之

プロフィール:

松澤大之(まつざわひろゆき)

公認会計士。日本公認会計士協会東京会 監査委員会委員。大手監査法人勤務を経て、現在ハミングヘッズ経理財務担当部長。趣味はサッカーで、地元チームに所属。

次回に続く


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