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2014/9/1  2/2ページ

移動体通信の今・昔 1Gから5Gへ(2)

 またスマートフォンの普及もほぼ同時期に進められており、これまでモバイル端末とPCの間にあった大きな差がかなり縮まっている。一方で、こうしたPCと差のない通信がモバイル端末で可能になったことは通信容量の圧迫を生み出している。


 高速通信に立ちはだかる通信容量制限の壁。高速でありながら容量に制限があるということは、使い方を誤るとあっという間に容量の限界に達してしまうということになる。110Mbpsというカタログ速度で通信を続けた場合、1秒間で約14MBのデータを受け取ることができる。すると通信容量は300秒で約5GBになる。つまり最速で通信を続ければ、わずか5分で1月の容量制限に達する計算になる。


 通信できるエリアにもまだ課題は大きい。多くの通信会社ではエリアの拡大を訴えているが、実際には都心であっても地下鉄線内になると通信が途絶、あるいはかなりの低速になるエリアもある。こうした容量制限やエリアの問題は実は基地局さえ設置されればすべて解消されるのだが、コストの問題もあり、なかなか難しい。


動画もサクサク、超高速の4G

4G回線のスペック

 現在、提供されている最新のサービスが4G回線だ。主なサービスはUQコミュニケーションから提供されているWiMAX2+など。Xi(NTTドコモ)、4GLTE(au)などのサービスで利用されているLTEを発展させた技術「LTE-Advanced」を使った第4世代移動体通信のサービス利用も徐々に広がっている。この世代まで行くとサービスによっては現在利用されている有線の通信よりも高い通信速度を確保している。


 4Gの懸念点もいくつかある。1つが、基地局の問題が解消されていないため、4Gでも引き続き容量制限が敷かれるだろうということ。もう1点がサービスエリア、そして電波帯域自体が抱えている問題点だ。容量を大きくするためには高い周波数の帯域を利用する。周波数帯域が高くなるとデータ容量は増すが、一方でエリア拡大が困難になる。直進性が高く迂回しづらい、雨天時の減衰などがあるため、基地局をより多く設置しない限り、3G回線のようなエリアを得ることはできないだろう。当面は3Gとの併用になると思われる。


光を超える未来の無線通信5G

5G回線のスペック

 日本国内では2012年に発表された未来の移動体通信が5Gだ。現在考えられている最先端の規格になる。実装は2020年頃を想定しており、規格などの策定を各国間で行っている最中だ。5Gで想定される通信速度は、規格を策定する団体によって異なるが最高で50Gbpsほど。また通信速度以外にも、より効率的なエネルギー利用、回線容量の増大、災害時の安定性などが5Gには求められている。


 通信速度の高速化によって端末の利用形態も変わってくる。端末では計算の結果を受け取るだけになり、処理はすべてクラウドの向こう側で行うような「クラウド化」や、また無意識のうちに行われる通信やM2Mのような機器同士の通信が当たり前になる「ユビキタス化」が、現在よりもさらに促進されるだろう。


 このように移動体通信は大きく通信速度で世代分けがされており、通信速度に合わせてコンテンツやできることも広がる。現在は第3世代から第4世代への過渡期であり、移動体通信を使った世界がここ数年で一気に広がっていく可能性が高い。今後は是非、自分の使っている端末が第何世代に対応しているのか、意識してみてはいかがだろうか?

(井上宇紀)

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