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2014/7/17  1/2ページ

ナノテク最先端施設、民間企業の活用術(1)

研究機関や大企業の研究者しか使えない、と思われがちなナノテクノロジーの最先端設備。しかし、こうした設備を一般の中小企業も利用できるようにしている取り組みがある。全国の研究機関が航空会社のアライアンスのように連携する「ナノテクノロジープラットフォーム」と呼ばれるプロジェクトだ。

 ナノテクノロジー設備の利用は、民間企業にどんなインパクトを与えるのか。今回はナノテクノロジープラットフォームに参画している物質・材料研究機構の施設を見ながら、探っていく。

ナノテクノロジープラットフォームとは?


 つくば市にある物質・材料研究機構。敷地の一角には、1台4億円の巨大電子顕微鏡がある。これを使えば、nm(ナノメートル、10億分の1メートル)どころかpm(ピコメートル、1兆分の1メートル)という極小の世界を観察できる。この電子顕微鏡は同機構が所有するものだが、ナノテクノロジープラットフォームを経由して申請すれば、中小企業も利用できるのだ。

電子顕微鏡。「ピコメートル」という超ミクロを分析
電子顕微鏡。「ピコメートル」という超ミクロを分析

 ナノテクノロジープラットフォームは、北海道から九州まで、全国各地にある大学や研究機関の所有する最先端機器を利用できる文部科学省のプロジェクトだ。施設の種類は、3つの技術によって分けられている。


 冒頭で紹介した電子顕微鏡を使い、物体がどんな構造をしているかを解析する「微細構造解析プラットフォーム(構造解析)」、半導体の構造などナノレベルの細かい作業を行う「微細加工プラットフォーム(加工)」、そして、分子の中に別の分子を組み込む「分子・物質合成プラットフォーム(合成)」の3つだ。


 ナノテクノロジープラットフォームは2012年からスタートしているが、大学の設備利用を活発にする動きは2000年頃から始まっていた。プロジェクト全般を取りまとめている、ナノテクノロジープラットフォームセンター長の野田哲二氏は語る。「当時のクリントン米大統領が、ナノテクノロジーを国家戦略として推進したのが『ナノテクブーム』の始まりです。雇用の創出に重点を置いていました。実際、米国では、経済的な効果に加え、多くの雇用創出につながっているようです。これを受けて日本でもブームになったのです」。


 この頃米国では、その10年くらい前からの最先端の設備をシェアする仕組み「NNUN(National Nanofabrication Users Network、全米ナノ加工ユーザー・ネットワーク)」の予定を終え、「NNIN(National Nanotechnology Infrastructure Network、国家ナノテクノロジー・インフラ・ネットワーク)」が作られた。ナノテク関連での雇用創出を図るとともに、特許取得による市場への貢献も狙いの1つだ。


 日本でも政府の「科学技術基本計画」の第2期に「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト」が立案される。文部科学省の予算約139億円を投じ、全国の大学・研究機関が所有するナノテク関連の施設利用を活性化する活動が2002年から始まった。


 科学技術基本計画第3期には、名称を「ナノテクノロジーネットワーク」と変えて2007年から実施。2期10年のプロジェクトで「最先端機器を連携させて、施設を供用する」は達成することができた。


民間企業の利用促進


 ただ、第2期・第3期と取り組まれた事業については、民間の利用が十分ではなかった。「大学等の研究機関の利用が80%、民間企業の利用は20%を程度でした。(大学や研究施設同士の)関係者だけで使っているのでは、という声もありました」と、野田センター長は振り返る。この反省を踏まえて2012年から始まったナノテクノロジープラットフォームでは「地方の中小企業にも使ってもらう」(野田センター長)ことを念頭に、運営方法を変えた。


 地域・施設ごとではなく、扱う技術を3つに分けて窓口を変えている。また、地域の企業を対象としたPR活動を行うマネジャーなどが、施設を持つ機関と企業のマッチングなどをコンスタントに行っている。


 民間企業が施設を利用する際には料金が発生するものの、「機材のメンテナンス費用をねん出できる程度」(野田センター長)に設定している。ランニングコストの一部を利用者側が負担することで、施設を持つ大学などが持つ「自分たちの施設を使われるだけ」という意識も軽減される。

>>最先端の設備を使って、何ができるのか?


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