最新のトピックスにフォーカス! クローズアップ
2014/6/23  1/2ページ

天気予報とIT技術(1)

我々が目にする「天気予報」。どのように情報が集められ、どう我々の手元に届くのか? スーパーコンピュータや観測システムなど、ITを活用したその仕組みを追った。

重宝されてきた天気予報とスパコンの利用


 もともと雨が多く、自然災害に見舞われる土地柄の日本。そのため、人々を自然災害から守るために、天気をいかに「早く」「正確に」伝えるかが天気予報において重要視されてきた。常に我々の生活に密着している情報だと言えるだろう。


 その天気予報の「早く」「正確に」をより具現化したのが、1959年(昭和34年)に気象庁で初めて導入された大型電子計算機(スパコン)だ。当時、大型の電子計算機は日本でも少なく、官公庁では最初に導入されている。


 現在、気象庁で利用されているスパコンは、2012年6月に導入されたもの。初代から数えると9代目で、東京都清瀬市にある。演算速度も847TFlops(1秒間に847兆回)の計算を行うことができる機能を持つ。第1世代の計算機の1000億倍もの処理速度だ。この圧倒的なパフォーマンスを用いて、天気の「数値予報」が行われている。


 数値予報とは、風や気温の時間の変化を、コンピュータで計算した値のこと。この数値予報を行うには、コンピュータで地球全体を覆う大気を規則正しい格子で囲い、その1つ1つの格子点の気圧、気温、風などの数値をはじき出す処理を行う。

東京都清瀬市にある気象庁9代目のスパコン
Hitachi SR16000(出典:気象庁)
東京都清瀬市にある気象庁9代目のスパコン
Hitachi SR16000(出典:気象庁)

 このスパコンに観測データを送るのが、気象情報伝送処理システム「アデス」。アデスには、各地で採取された気象に関する様々なデータが集まる仕組みとなっている。


 アデスに送られる気象情報には、気象台や測候所などの気象官署(気象庁の直轄の観測地点)のように地上で観測するものから、気象衛星まで様々なものがある。地上で観測するものには、各地に点在する気象官署の他、そこからでは把握できない局地的な大気現象を監視するシステム「アメダス」などもある。アメダスは全国1300地点で整備され、風速・気温・日照時間を観測する。この気象官署やアメダスなどで得た情報を、固有のネットワークを通じてアデスへ送信する。観測データは10分毎に集計されている。


 一方、宇宙から天気を観測するのは運輸多目的衛星「ひまわり」。「ひまわり」は国土交通省航空局と気象庁が共同で運用する静止衛星。搭載したカメラで撮影した、雲や地表などに反射された太陽光線や赤外線から、雲や水蒸気などの様子を知ることができる。雲や大気の状態を北半球は30分毎、南半球は1時間毎に観測し、情報を地上に送っている。


気象資料総合処理システム「COSMETS」


 この地上・宇宙からの観測データが集約される「アデス」と「スパコン」から成る気象庁の基盤情報システムが気象資料総合処理システム「COSMETS」だ。現在の気象庁の中核をなすシステムだが、どんなにパフォーマンスが高いシステムでも情報を正確に運べなければ意味がない。“情報を運ぶ伝送網”の安定が必須だ。「様々な種類の気象情報を確実に伝えられることが最重要条件」と気象庁予報部業務課の野澤晋輔氏は話す。

気象庁予報部業務課
野澤晋輔氏
気象庁予報部業務課 野澤晋輔氏

 そのため信頼性の高い広域LANを二重に敷き、COSMETSとつなぐなど強固な通信基盤を形成している。この強固な伝送網である「国内基盤通信網」によって札幌管区気象台、仙台管区気象台など国内の気象台とCOSMETSを結び、各地の気象データの情報収集・配信を担っている。

>>COSMETSの役割、民間気象会社の取り組みとは


RPAツール・AIHH

【関連カテゴリ】

その他