『3月のライオン』グルメ散歩道(1)

著:羽海野チカ(既刊1~9巻)
白泉社
\510/166ページ(第9巻)
発売日:2013年10月5日(第9巻)
佃小橋のふもとにある、おいしい中華
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| 第7巻。佃小橋を渡る姿が心にしみる |
ストーリーもさることながら、『3月のライオン』が没入して読める理由は何だろう、と考えてみる。やはり、作中に出てくるディテールであろうか。月島を始めとする背景はもちろん、登場人物の服も丁寧に描かれている。
個人的には神宮寺崇徳・日本将棋連盟会長のストライプスーツが好みだ。そのままトーンを張っている感じではなく、白のストライプ部分をきちんと描いている。そこはかとなく高級感が漂うだけでなく、ストライプの押しの強さに負けないくらい勢いのある、神宮寺のキャラクターも映えている。
しかしながら、こうしたトーンをまじまじと見つめて思うことがある。羽海野チカ氏だけではないと思うが、ネーム(ストーリー)を考え、コマ割り、ペン入れ、トーン貼りを毎回雑誌に掲載させていく漫画家は本当にすごい。絵の細部などは読み飛ばす傾向はあるが、「美は細部に宿る」と改めて感じた。細かいところにも手を抜かないで、始めて「普通の漫画の絵」として見ることができるのだ。
ミクロに手を抜かず、ストーリーを破たんさせずに深く掘り下げていく。なんという全身を消耗する仕事であろう。
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| 零とひなたが歩いた佃小橋。煙突マンションの下に「麗江」がある |
第7巻では温かみを覚えるのは、零とひなた、2人の節目で描かれることの多い、橋を渡るシーンである。零が「新人王を取ったらおごる」と言って、ひなたとあかりを甘味処に連れて行った。その帰り道、モモを抱いた零とひなたが並んで歩く風景は、第6巻で出てくる「京都の修学旅行」エピソードと相まって非常に印象的である。
この付近で満腹になりたい時は、モデルになった佃小橋、そのたもとにある「麗江」に行こう。銭湯「月の湯」のモデル、「日の出湯」がある建物の1階にある麗江は、満漢全席もかくやのランチが出てくる。多分、あかりもひなたも足を運んだら満足することだろう。


