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『3月のライオン』グルメ散歩道(1)

『3月のライオン』グルメ散歩道

著:羽海野チカ(既刊1~9巻)
白泉社

\510/166ページ(第9巻)
発売日:2013年10月5日(第9巻)

2013/12/26

青年誌に異色の漫画


 「濡れ場」描写のある作品を多く掲載している青年コミック誌「ヤングアニマル」での連載にもかかわらず、男女問わず人気を誇っている『3月のライオン』。


 月島を舞台にしているこの作品は、特設ページでも案内図が載っているくらい、しっかり背景が描きこまれていることでも有名だ。今回はHH News & Reportsで掲載している、もんじゃ以外のおいしいお店を紹介する「月島食道楽」と本書を重ねて、月島界隈の紹介をしていきたい。


『3月のライオン』1巻。中央大橋が印象的
『3月のライオン』1巻。中央大橋が印象的

タワーマンションエリアと「川本家」の佃エリア


 『3月のライオン』の見どころは「将棋」のドラマのみならず、交通事故で家族を失った主人公の高校生プロ棋士・桐山零が、人間として自分に素直に向き合えるか、という心の成長も見どころである。彼をサポートする川本あかり、ひなた、モモの3姉妹に零は温かく迎えられ、時に慰められながら物語が進んでゆく。


 さて、そんな零が凛とした表情で迎える第1巻の表紙。そびえたつ中央大橋の塔柱(主塔)、たゆたう隅田川の流れを背景に、零が立つ。このアングルは隅田川を挟んで新川、茅場町方面を望む、佃側からのものだ。


 作中では、零が川本3姉妹の住む佃方面へ行く時には決まってこの橋を渡っているので、零は新川地区(表紙で言えば奥側)にある隅田川沿いのマンションに住んでいるのだろう。


 川本家が居を構える「佃エリア」は、1990年代初頭に造成されたリバーシティを含むタワーマンションがそびえる都会的ウォーターフロントである。にもかかわらず、込み入った下町家屋も肩を寄せ合うという、なんとも不思議な光景を携えている。

佃・「星時計」。アンティーク感あふれる店内
佃・「星時計」。アンティーク感あふれる店内

 おいしいお店も軒を連ねている。タワーマンションの近くにある「PONTE CENTORO」は、ホクホクの窯焼きピザをほうばれる。


 佃地区の「星時計」は、ジブリ映画「耳をすませば」に出てくる「地球屋」のような、不思議であたたかい雰囲気がある。オーナーの川上里美さんがふるまうランチタイムのカレーやマグロ丼は、川本3姉妹の長女・あかりが作る料理のようにぬくもりがある。常連さんたちと気さくに交流できる社交場だ。


 一方でスタイリッシュなカフェも。「Luxe cafe」は南国リゾート調のスタイリッシュなお店。日中の日差し受けながら、洗練されたトマトクリームパスタとこだわりのコーヒーで、気分もリフレッシュできるだろう。

>>「赤い橋」と銭湯の近くにあるのは…?