オリンピックと東京、新書で探訪(1)

2020年のオリンピックは…
イスタンブール、マドリッドとの三つ巴のなか、猪瀬知事の発言で一時危ぶまれたものの、オリンピック開催地に名前を連ねる東京。IOC(国際オリンピック委員会)が2013年6月に発表した評価報告書で、東京は財務体質が評価されたものの、9月7日のIOC総会で答えが出るまでは気が抜けない。
今回は、何かと話題が多いオリンピックにまつわる書籍を、手に取りやすい新書から3点選んでみる。
『オリンピック物語』で振り返る歴史
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| 「神」から「カネ」へ… |
古代ギリシャ・ローマ時代のオリンピックでは、1169年間続いていた中で、戦争を理由にした中断は1度もない――。ジャック・ロゲIOC会長の寄稿が巻頭を飾る『オリンピック物語』は、現在のオリンピックの理念と現実を、古代の対比を描くところから始まる。
当初は神々のためにささげる競技だったのが、約1000年間のうちに、優勝賞金の高騰から来る選手のプロ化、八百長などの不正が存在してくるところも、残念ながら近代オリンピックも同じ経験をたどっている。
時が下って1896年、第1回近代オリンピックがアテネで開催される。近代オリンピックとは名ばかりで、大学の掲示板や新聞記事で選手募集をしている程度。テニスの優勝者はたまたまアテネに遊びに来ていた英国人、というからほほえましい限りである。
本書は、第1回アテネ大会を開催にこぎつけ、「近代オリンピックの父」と呼ばれるクーベルタン男爵が行った華麗なる取引、女性の参加問題、サマランチ前IOC会長から始まったオリンピック競技種目の相次ぐ追加による肥大化、などなど。盛りだくさん、かつ要点を押さえてオリンピックの抱える問題や歴史を紹介しているので非常に読みやすい。
2013年は、レスリングがオリンピックの競技種目削減枠に入ったために、日本を始め、各国で競技存続の運動がなされている。一方、肥大化が続いたおかげで、運営費だけでも約20億ドル(約2000億円)かかるイベントになってしまった現在のオリンピック。一概に競技の存廃を決めるのは、難しい。競技種目の定期的な入れ替え、が妥当なところなのだろうか。

