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隠れた名作ライトノベル特集(1)

隠れた名作ライトノベル特集

 
 

 
 

2013/6/20

ライトノベルってご存知ですか?


 表紙に漫画イラストが大きく載っている小説を、読んだことはなくても本屋で見かけたことがある方もいらっしゃるのではないだろうか。ライトノベル、通称「ラノベ」は、主に映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作小説『指輪物語』(著:J・R・R・トールキン)に端を発し、日本生まれの「ファンタジー小説」の流れを汲んでいる作品群のこと指す。今では主に若年層にターゲットを絞り、この出版不況の中、年々発行部数を伸ばし続けている珍しいジャンルでもある。


 今回はそんなライトノベルの中でも、コアなファンに人気だったりする「隠れた名作」にスポットをあてて紹介していきたい。


いろいろぶっ飛んだサイバーパンク×ニンジャ小説
いろいろぶっ飛んだサイバーパンク×ニンジャ小説

ツイッターの「訳」で大ヒット!


 米国において日本の文化は一部にカルト的なファンを持っている。ニンジャ、サムライ、ゲイシャ、テンプラ、ハラキリ…。そして米国に愛された文化は米国で消化され、米国流の解釈が加えられ、そしてとてつもないメタモルフォーゼを終えて、日本に戻ってくることがある。


 本項で紹介する『ニンジャスレイヤー』(著:ブラッドレー・ボンド、フィリップ・N・モーゼス)は、米国で発売された作品を、日本人が日本人向けにツイッター上で翻訳したところ、豪快な日本観のズレ方と、訳の絶妙な味わいが中毒者を生み、人気が広がっている作品。米国から逆輸入された寿司メニュー「カリフォルニアロール」に「そんな寿司ねーよ!」と突っ込みたくなる衝動に駆られながらも、食べてみると意外においしい、というのにどこか似ている。


 舞台は恐らく、未来の日本にあたるだろう時代。サイバネティック技術(機械による義肢)が発展し、常に重金属酸性雨が降り、サイバースペースにダイブ(意識ごとネット空間にもぐりこむ)ことが日常茶飯事な都市「ネオサイタマ」。ニンジャに家族を殺され、自身も殺されかけたサラリマン、フジキド・ケンジに闇のニンジャソウル(平安時代!? のニンジャの魂)が宿ってニンジャスレイヤー(ニンジャ殺し)になるところから始まる。


 もはや、どこから突っ込んでよいのかわからないというよりも、突っ込まなくて済む場所を探す方が難しい出だしだが、サイバーパンク風のシリアス感だけは伝わってくる。そのシリアスな設定に割り込んでくる戦いが、さらに変だ。ニンジャ同士は必ず、戦う前にアイサツをしなくてはいけないらしい。しかも、丁寧にしないと「シツレイ」にあたり「ムラハチ」にされるそうだ。


 ニンジャが負ける時には「ハイク(辞世の句のことか?)」を読み、「サヨナラ!」と絶叫しながら爆発四散する。意味が解らない。何故? 読めば読むほどに疑問符が大量に浮かび上がるが、こういったことの理由は大抵「古事記(原文:kojiki)にそう書いてある」。


 ……そんなぶっ飛び過ぎた設定に最初は笑いながら、しかし気が付くとアツいバトルのテンポに徐々にはまって読み進んでしまうのも、この作品の魅力。6月末に発売される新刊は、ネオサイタマを離れキョートにて敵組織ザイバツとのさらなる激戦が繰り広げられる新展開で、ますます目が離せない。気になる方は、まずは現在公開されているツイッターの翻訳から入ってみてはいかが?

>>ジャンプ名作と著名ラノベ作家