Bookshelf ~今月の本

『結局、どうして面白いのか 「水曜どうでしょう」のしくみ』

著:佐々木玲仁
フィルムアート社

\1890/238ページ
発売日:2012年9月14日結局、どうして面白いのか 「水曜どうでしょう」のしくみ_著:佐々木玲仁

2012/11/22

納得! あの番組の「面白さ」


 以前、埼玉テレビで放送していた「水曜どうでしょう」をたまたま見る機会があった。しかし、「そこまでカッコ良くないモジャモジャ頭が、だるそうにボヤいているだけじゃん」という以外、番組にも大泉洋氏にもこれといった感想も持たなかった。数年経った後、またしてもたまたま見る機会があった。確かに、夜ぼんやり見ていると「なんとなく」面白い。

 彼の人気の火付け役になった「水曜どうでしょう」。この番組を、臨床心理士の佐々木玲仁氏が自身の分野で培った分析手法で面白さを講義形式で掲載しているのが本書である。

 「サイコロの旅」などの企画を「物語」、企画を巡るディレクターと出演者のやり取りなどを「メタ物語」として、「水曜どうでしょう」を「物語の二重構造」と記す。これを元にカメラワークや、大泉・鈴井・藤村・嬉野4氏の役割や関係性などをピックアップしながら「どうして面白いのか」をひも解いている。

 番組の特徴に「繰り返し」がある、と著者は言う。それは企画ではなく、高台公園での番組紹介や、ディレクターと出演者とのやりとりだ。これが「なじみ」のような安心感につながるという。

 2人のディレクターのインタビューを交えながら、読み進むにつれて「水曜どうでしょう」の面白さがおぼろげながら解明されていく様は実に気持ちがよい。多少話が込み入るところがあるが、そこで面倒になったら著者も言うように本を閉じて寝てしまうもよし。気が向いたらまた開けばいい。番組と同様、この本にも手に取りやすい気軽さがある。こたつでのんびり、この本片手に「カブの旅」を眺めるのも悪くない。

(中西 啓)