Bookshelf ~今月の本

『戦争を取材する』

戦争を取材する_著:山本美香

著:山本美香
講談社

\1260/190ページ
発売日:2011年7月12日

2012/11/15

戦場から、子供に向けたメッセージ


 数々の戦地を巡った戦場ジャーナリストの山本美香氏。2012年8月、内戦まっただ中のシリアで銃撃に巻き込まれ、亡くなった。この本は小学生向けに書かれたものだ。戦争に巻き込まれた同じ年くらいの子供たちが、どのような状況に置かれているかを丁寧に描写している。

 地雷で足を失ったコソボの子供、ゲリラに誘拐されて少年兵として戦わされたウガンダの子供、廃墟を転々として子供だけのグループで生き延びようとする戦争孤児。同じ年の子が、日本と少し離れたところに生まれただけで死地にさらされていることを、正面から、しかしやさしく伝えている。

 こうした戦地の子供たちの悲惨さだけでなく、地雷を除去するために活動している女性たちや地雷探知犬の育成、ゲリラ兵にさせられた子供たちに心のケアをして感情を取り戻させる保護センターの様子も描いている。自分の立場に戸惑いを覚える米兵のコメントも掲載し、戦場では大人たちも困惑していることを伝えている。

 ウガンダの少年ゲリラ兵だったターティ、コソボで足をなくしたアデム、そして大人たちの物語を山本氏が送る。このメッセージを、果たして日本の子供たちはどんな形で受け止めていくのだろうか。

(中西 啓)