Bookshelf ~今月の本

『崖っぷち「自己啓発修業」突撃記』

崖っぷち「自己啓発修業」突撃記_著:多田文明

著:多田文明
中公新書ラクレ

\798/232ページ
発売日:2012年5月10日

2012/10/11

読書法から発想法まで、ビジネス書に体当たり


 ビジネス書のノウハウを生かして、ライターが出版社やラジオへ企画を提案し、採用されることを目標にする…。

 キャッチセールス商法の実態を、自らも体験するなどして2003年に発表した『ついていったらこうなった』がベストセラーとなった著者の多田氏が、半年間で50冊のビジネス書を読み込み、そこに書かれていることを実際にやってみたのが本書である。

 50冊にわたるビジネス書を読み込むための「速読法」、目をつけられる企画を作るための「発想法」、アポイントを取ったり、相手との会話をスムーズに進めたりするための「会話術」など、多岐にわたる。それぞれに挑戦した著者が「こんなことができるようになりました」と報告すれば、「次はこれをお願いします」と容赦ない依頼が次々に来る、という編集部とのやり取りを織り交ぜた章立てが面白い。

 何よりも引き込まれたのは、企画を持ち込むためのアポイント段階でのやり取りや、ビジネス交流会での失敗談など、実体験のリアルな筆致だ。他人の失敗と笑ってしまうが、自分にも同じような場面があったことを思い出して、笑い顔がそのまま引きつってしまった場面も何度かあった。

 大抵はビジネス書のタイトルを眺めて「ふーん、また出ているのか」とぼんやり思うか、「手に取ったら、なんだか恥ずかしい」と考えて読まず仕舞いになってしまう。50冊もの山を越え、なおかつ実践していく著者の姿はまぶしい。本書で紹介されているうち、10冊は読んでみようと思う。その前に、この本を、穴のあくほど読み返すことにする。

(中西 啓)