Bookshelf ~今月の本

『決断なんて「1秒」あればいい』

決断なんて「1秒」あればいい_著:桜井章一

著:桜井章一
ソフトバンク文庫

\680/224ページ
発売日:2011年8月20日

2012/9/13

雀鬼が語る「1秒」の裏にある生き様


 桜井章一氏は、1度でも麻雀にハマった人なら耳にしたことがある人物だろう。新宿を根城に「代打ち」と呼ばれる麻雀の裏プロとして20年間無敗の伝説を打ち上げ、“雀鬼”(じゃんき)と称された。裏プロを辞めた後は雀荘「牌の音」を経営するかたわら、麻雀映画のモデルや執筆活動などを行っている。

 時にはテレビ番組「爆笑問題のススメ」に出演して、現役時代さながらのイカサマ技を披露することもある。プロフィールの「胡散臭さ」から、彼の発言をまゆつば物と見る人もいるが、勝負強さや飾らない人柄に興味を持ち、彼のもとへ訪れる著名人も少なくない。将棋の羽生善治名人も、そのうちの1人だ。

 本書の中で、著者は「決める」という行為を、自決・決死・決行・決勝などの単語を例に挙げ、「簡単なことではない」としている。しかし、ただただ決断だけに着目するのではなく、「準備・実行・後始末」というサイクルの中で、決断を捉えていけばいい、と述べている。

 「実は『決断力』とはそんな大げさなものではなく、いかに前もって『準備』してあるか、ただそれだけのことなのだ。」(本文より)

 仕事であれプライベートであれ、迷うことなく「1秒」で結論を出せるのは、様々な状況をシミュレートしているから、ということを著者は例え話を織り交ぜながら語る。多少自慢とも取れるような経験談が気になるものの、「自分自身の約束を守る」「決断する時は『私』を捨てる」など、「そういえばできていないかも」という気付きを与えてくれるのも確かだ。自分の生き様を見つめ返す1冊になるかもしれない。

(中西 啓)