Bookshelf ~今月の本

『ノマドライフ』

ノマドライフ_著:本田直之

著:本田直之
朝日新聞出版

\1470/176ページ
発売日:2012年3月16日

2012/7/19

ノマドライフは自分にもできる? と考えずにはいられなくなる一冊


 ノマドライフとは、遊牧民(=ノマド)のように、2か所以上を移動して仕事したり生活したりすること。右肩上がりの経済成長が過去のものとなり、これまで通りの働き方で幸せになるかは不透明な時代。仕事により1か所に縛られずに、より自由な生き方を選択することも、1つのライフスタイルだと本著では主張している。

 著者は、日本とハワイの2か所を拠点としてベンチャー企業の投資事業を行っており、ノマドライフの実践者でもある本田直之氏。本田氏は「会社勤めに徹し、車や家などたくさんの『モノ』をもつことが幸せという考えが主流だったのは90年代まで。今では『できるだけ縛られず自由に生きることがひとつの幸せ』という考え方が増えてきている」と解説。そして、そうした“自由に生きること”をモットーとするならば「昇進を拒否することも一つの手段であり、前向きにとらえることが大切」(ポジティブ・ディモーションと著者は呼ぶ)と言ってはばからない。

 こうしたノマドライフを可能にしたのはテクノロジーやネットワークの進歩だ。スマートフォン・タブレット端末の普及や、働き方の多様化によって、誰にでもこうしたノマドライフを選択することができるようになったと著者は続ける。

 しかし、ノマドライフをおくるためにすぐに会社を辞めるという発想は早合点。まずは会社勤めなどで必要最小限、継続的に入ってくる収入「ベーシックインカム」を確保しつつ、ほかの仕事の可能性を模索。準備をして少しずつ移行することが重要だとしている。

 この本を読んだ人は「自分にもこうしたノマドライフが可能なのか」と思うに違いない。もちろん、私もその一人。スマートフォンも購入したし、通信手段に問題はない。あとはノマドのような生活でも可能な仕事を見つければ…。しかし妻の仕事や子育てを考えると、どうしても「不可能だ」と結論付けてしまう。

 しかし、これはどうやら著者が本著で挙げている「思考の柔軟性の欠如」のようだ。積極的に多様な考え方や文化に触れ、「柔軟な思考」を備えることが、ノマドライフを実践する一歩だとも著者は記している。私の場合、「柔軟な思考」を磨くのが最優先。そのあとにゆっくりとノマドライフの可能性を模索してみようかと思う。

(山下雄太郎)