『探偵はバーにいる』

著:東直己
早川書房
\798/426ページ
発売日:1995年8月11日
ススキノに漂う酒とタバコの香り
朝帰りをしたわけでもないのに、読み進めるとすえた匂いがしてきそうなこの本。
目が覚めるとサンドイッチとウィスキーのストレートをダブルで2杯。夜はバーで胃薬を飲みほし、缶ピースをふかしながらウィスキーベースのカクテル・ラスティネイルを7~8杯。次の店でもジャックダニエルをこれまたストレートで5~6杯。
こんな生活を毎日のように送っている主人公の「俺」が、ふとした依頼から、複雑に入り組んだ殺人事件に巻き込まれていく…。大泉洋主演の映画「探偵はBARにいる」の原作は、同書の第2弾『バーにかかってきた電話』である。しかし、せっかくなのでこのシリーズの第1作目を紹介した。
主人公の名前がないままにすんなりと物語が進められてゆく。気がつくと「俺」と一緒に二日酔いで風呂に入りたくなり、少年たちとのストリートファイトであばらが痛くなり、馬鹿な女にため息をついている自分がいる。
札幌の繁華街・ススキノを舞台にしたこの小説、1980年代初頭という設定なので、連絡手段はもっぱら電話が登場する。「待ち合わせ」の感覚を多少記憶している記者には懐かしく思えた。
今夜はハードボイルド気取りで、ススキノならぬ歌舞伎町のゴールデン街に繰り出してみようか。
