『ローマ人の物語』(文庫版)

著:塩野七生
新潮社
全43巻
発売日:2002年6月1日~2011年9月1日
累計1000万部超、古代ローマの興亡史シリーズ
このところ、古代ローマ時代がひっそりと、しかし確実に日本人の人気を捉えている。古代ローマの浴場をテーマにした漫画『テルマエ・ロマエ』は現在刊行中の3巻までが300万部という大ヒットを飛ばすかたわら、単行本・文庫合わせて1000万部を超えているのがこの『ローマ人の物語』シリーズだ。
文庫版の最終巻である43巻が2011年9月1日に発売された同シリーズは、紀元前753年の建国から紀元476年の西ローマ帝国滅亡まで、約1000年以上続いたローマの歩みを書き記したもの。基本的には時代を追って書かれているが、途中にはカラー写真をふんだんに掲載してアッピア街道など有名なローマの土木技術を紹介する巻(同シリーズ27、28巻『すべての道はローマに通ず』)もある。
ローマがカルタゴの名将ハンニバルと死闘を演じた3度にわたるポエニ戦争、「賽は投げられた」で有名なユリウス・カエサルの軍事・政治・文筆での八面六臂の活躍ぶり、「五賢帝」と称された皇帝たちなどを、生き生きと描いている。
ローマの政治家・軍人への感情移入を多分に盛り込んだ「人物ドラマ」を通じてそれぞれの時代を解説する塩野氏の手法は、ローマ史を身近に感じるには非常に読みやすいものである。それ故、こうした記述に「当時の歴史を曲解して伝えている」という批判が聞かれるのも確か。しかし、史学の点でこの書籍に投げかけられる疑問があれば堂々と論を張ればよし。いずれにしても、改めて古代ローマ史が賑わうきっかけになるだろう。
