Bookshelf ~今月の本

『先送りできない日本』

 

先送りできない日本_著:池上彰

著:池上彰
角川書店

\724/185ページ
発売日:2011年5月10日

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2011/7/28

「池上さん」の言葉はニュース理解の「入口」


 「”第二の焼け跡”からの再出発」とサブタイトルにあるように、本書は東日本大震災直後に出版されたものである。しかし、内容自体は震災以前から日本が抱えてきた問題を掘り起こしたもの。あとがきにも、書籍の企画はこれより数年前にあったとしている

 海外で見かける広告が「SONY」や「SHARP」から「HYUNDAI」に取って代わられているところから本書は始まる。日本の置かれた状況を、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)など貿易を軸に、農業政策、金融へと解説を進めていく。また、これに絡む韓国や中国の動向を紹介し、これから日本の政治・経済がどう進むべきかを記している。

 バラエティを始め、数々のテレビ番組に出演する池上氏。彼の淀むところない時事問題の解説は非常に分かりやすい。内容はもちろんのこと、新聞に出てくるニュースを、受け手がどう感じているのかも十分に知り尽くした上で「プレゼン」をするからである。本書も、そんな池上氏の語り口調そのまま、なめらかに展開していく。

 ただ、「池上さん」の解説を聞いて納得するだけではもったいない。政治・経済など、様々な分野の「入口」を示した本書を、学生もビジネスマンも、専門性をつけるきっかけにしてほしい1冊だ。

(中西 啓)