Bookshelf ~今月の本

『デフレの正体―経済は「人口の波」で動く』

 

デフレの正体―経済は「人口の波」で動く_著:藻谷浩介

著:藻谷浩介
角川oneテーマ21

\760 /270ページ
発売日:2010年6月10日

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2011/3/10

参考文献なし!? でも信憑性高

 デフレは日本経済が抱えた大きな“病”だ。本書は、政府統計など公開されているデータを元に、日本経済に関して広まっている誤解と、必要な“処方箋”について説明している。
 「中国の繁栄は日本の敗北」「日本の国際競争力が落ちている」と、巷でつぶやかれる「空気」を根拠がないものと一刀両断。反論として政府統計など信頼性の高く、誰でも裏を取れるデータのみを用いていることが本書の大きな特徴だ。

 戦後最長の好景気と言われる2002年~2008年に「国際競争力が上がりながらも、なぜ大半の国民が実感できなかったのか」などといった疑問点も、すべて公開されたデータを基に解説している。
 後半ではタイトル通り、デフレの原因を「人口の波」と断定。信憑性が高いデータを基に説明される「人口の波による経済への脅威」は、想像を超え、空恐ろしさすら感じさせる。
 わずかに見受けられた感情的な文体が、読む人によっては気にはなるかもしれないが、様々な情報が飛び交う中、日本経済の現状を知るひとつの視点として、読んでおきたい。

(井上宇紀)