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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
(動画あり)

セミナーレポート
ITコンプライアンス・サミット2009 Summerが開催

 2009年8月28日、青山ダイヤモンドホールにて「ITコンプライアンス・サミット2009 Summer」が開催された。現在、企業は内部統制制度への対応、国際会計基準(IFRS)の適用へ向けた準備、あるいはセキュリティ及びリスク管理など、様々なコンプライアンス課題に取り組んでいかなければならない。それら企業課題とITを結びつけるとともに、課題となる制度の意義や検証を行うべく、産官学から講演者が招かれた。

基調講演では、大勢の参加者が広い会場を埋め尽くした
基調講演では、大勢の参加者が広い会場を埋め尽くした
 基調講演では、「内部統制報告制度導入後の状況について」と題し、金融庁の企業会計調整官の野村昭文氏が檀上に立った。7月7日に金融庁から発表された「平成21年3月決算会社に係る内部統制報告書の提出状況について」の解説の後、2010年3月期から任意適用が始まる国際会計基準(IFRS)と内部統制との関係について述べた。
 内部統制制度とは、あくまで「適正な財務報告」を作成するための社内体制を作ることを目的としており、国際会計基準が導入されたとしても大きく変わることはない。ただ国際会計基準は原則主義(プリンシプルベース)であるので、ある程度ルールが整備されていた日本基準とは大きく違う。「正しい会計処理とは何なのか、何をもって正しい財務報告とするのか、従来ならルールに照らし合わせ判断をしていたのが、各社が自社の基準を用いて判断していかなくてはならなくなる」と説明した。
 そのような状況に対応するためにも、「より適正な財務報告を作るための仕組みである内部統制の重要性が増してくるのではないか」と野村氏は締めくくった。

青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科
八田進二教授
青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科
八田進二教授
 青山学院大学の八田進二教授は「国際的統一化が進む市場の課題 ~原則主義の実質を考える~」をテーマに講演。原則主義の説明に際し「従来の日本会計は、ある程度ルールが整備されており『規則主義』的な考え方がベースにあった。例えるなら、『規則主義』とは小中高の『校則』のようなもの、国際会計基準のような『原則主義』は、社会に出て試される『常識』のようなもの」とし、具体的ルールの有無という点から相違点を示した。
 また内部統制や国際会計基準などの、国際的流れの制度に対し「内部統制構築時において経営者に求められたのは、いかに自社に適した仕組みを構築するか、その仕組みの判断基準をきちんと説明できるかであった。それと同様に、国際会計基準の導入に際しても、細かな規定のない中で敷いた自社ルールや、その判断基準を、きちんと世間や監査人(会計士)へ説明できるかが問われるであろう」と述べた。

デロイト トーマツ リスクサービス株式会社
パートナー公認会計士 丸山満彦氏
デロイト トーマツ リスクサービス株式会社
パートナー公認会計士 丸山満彦氏
 デロイト トーマツ リスクサービス株式会社の丸山満彦氏は「内部統制再考~何のための内部統制か、何のための評価か~」と題し、改めてその目的を監査現場に関わる者の視点から振り返った。
 まず「内部統制とは本来、法律で縛られるものではなく、組織自らの責任で自主的に行うものであり、企業の目標達成を支援するためのシステムである」とその意義を整理した。財務報告の信頼性や事業活動に関わる法令等の遵守だけではなく、業務の有効性や効率性を高めるというのが当然の目的となる。丸山氏は「内部統制の評価とは、実は基本的に経営改善のための評価と中身が同じです」と述べ、制度としての整備に忙殺され、その意義を見失い、結果的に経営の効率を落としてはいないかと警鐘を鳴らした。
 また2年目以降に注力するべきポイントとして、運用評価の検証時間をいかに少なくするか、そのためにいかにITをうまく運用するかという点を挙げた。
 「内部統制についても、作業をITである程度自動化し、本当に例外的な部分、人が判断しなければならない部分だけを人が行い、それ以外の単純な作業、統制、評価は、機械化するような仕組みを作ることが大切です」と語り、現場の作業負担の軽減の重要性を指摘した。

各講演者の主張を通じ、改めて制度の実質的意義を理解することが重要であると感じさせられたセミナーであった。


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。




注釈

*:任意適用
国際会計基準(IFRS)導入に際し、日本企業は2010年3月期から任意適用となった。強制適用(アドプション)の是非は2012年をめどに判断される予定。


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