電子商取引についての研究成果をECOMが報告:イベント・セミナーレポート:HH News & Reports:ハミングヘッズ

ITをもっと身近に。新しい形のネットメディア

- Home > コラム > イベント・セミナーレポート > 電子商取引についての研究成果をECOMが報告
 コラムトップページ
 インタビュー記事 ▼
 イベント・セミナーレポート ▼
公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
(動画あり)

セミナーレポート
電子商取引についての研究成果をECOMが報告

 SuicaやPASMOなど、身近なところで使用されている電子タグ。これらを含めた電子商取引についての研究活動などを行っている次世代電子商取引推進協議会(ECOM)が、「平成20年度ECOM成果報告会」を東京・港区のTEPIAホールで開催し、2008年度の研究成果を発表した。

 冒頭挨拶でECOM事務局長の片岡幸一氏は「電子商取引、あるいはサプライチェーン(供給の連鎖)に時空間情報を取り入れることによって、サプライチェーンの新しい姿ができればと、研究をしてきた」とコメント、引き続いてECOMの各研究会や委員会からの報告が始まった。

近未来のバリューチェーンについて語る梅嶋氏
近未来のバリューチェーンについて語る梅嶋氏
 報告会の第1部では、慶応義塾大学SFC研究所AUTO-IDラボ・ジャパン副所長の梅嶋真樹氏が壇上に立った。ECOMの近未来バリューチェーン*1研究会の委員を務める梅嶋氏は、時空間情報の現状について「緯度・経度は万国共通だが、住所の表記は各国様々であるように、工場のシステムはライン設置場所に各企業で勝手にライン番号を付けている状態で互換性がない」と指摘した。
 こうした情報を効果的に活用するにはどうすればよいか。梅嶋氏は、
(1)利便性享受者(消費者や商店のオーナーなど)
(2)情報集積者(データ管理会社など)
(3)商品・サービス提供者(メーカーなど)
の三者間で情報や商品・サービスが行き渡るような時空間情報を活用した情報流通モデルのフレームワークを披露した。
 「わかりやすく言えば、『東京タワーの前にいる奥さんにバラを送る』ことができるようにすること。(1)の奥さんが(2)のデータ管理者に対し、携帯電話などを利用して『東京タワーの前』という位置情報を送る。(3)の花屋さんはデータ管理者から奥さんの位置情報を受け取り、バラを届けられるようにする仕組み」と梅嶋氏は解説。
 こうした将来の電子商取引について「製品情報の収集は、POS(Point of Sales:販売時点情報)からPOU(Point of Use:利用時点情報)に進化していくべき」と述べた。

個人情報保護などについても講演がなされた
個人情報保護などについても講演がなされた
 一方で、消費者などから提供される情報については個人情報であるため、あらかじめ利用方法を明示して許諾を得るなどの対応が必要になってくる。
 梅嶋氏は個人情報への配慮や各産業間データの共通化を進め、今年度は完成したフレームワークを具現化していくために活動すると強調して講演を終えた。

 続いて第2部では、ICタグなどの情報連携に関連する標準化の動向を中心とした発表が行われた。ECOM情報連携基盤国際標準化戦略会議の座長を務める東京国際大学教授の堀内一氏は、情報連携に関する国際標準化への各国の動向を報告した。

標準化活動の必要性を説く堀内氏
標準化活動の必要性を説く堀内氏
 堀内氏は座長見解として「オバマ政権になってから米国のIT企業はますます元気になっている」と述べ、システムソフトウェアやアプリケーションソフトウェアのシェアを北米企業がほとんど握っている現状からさらに拡大していく機運を指摘。また、中国がCCC(中国強制認証)制度*2に基づいた提案をISO(国際標準機構)に持ってきていることなどを懸念した上で、「情報連携基盤は社会資本なので、活動の全てがビジネス・インセンティブに進めることはできないが、標準化策定に日本も積極的に関わっていくべき」と締めくくった。

 現在の物流の基盤となっているICタグだが、現状は企業間のシステムがまばらであるなど、まだまだ改善の余地がある。課題は多いと思われるが、電子商取引について各企業が連携して取り組むことを期待したい。

※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



注釈

*1:バリューチェーン(価値連鎖)
原材料から製造、出荷、販売、サービスを経て最終顧客で消費されるまでの各段階の付加価値の流れのこと。

*2:CCC(China Compulsory Certification)中国強制認証制度
2002年に施行された電気・電子部品を中心とした中国の強制認証制度。この認証がないと中国への輸出、中国国内での販売ができない。海外企業は、対象となる製品を中国の試験期間に製品資料やサンプルを送るなどして認証を受ける。


お問い合わせ

  コラムトップページへ▲