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セミナーレポート
情報処理推進機構が「IPAX2009」を開催

 「ソフトウェア・エンジニアリングセッション」では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)執行役の長谷川秀夫氏が危機管理の考え方について講演し、国際宇宙ステーション(ISS)における搭乗員の安全確保策を例に、網羅的な対策の重要性を訴えた。

国際宇宙ステーションの安全確保を例に、危機管理の考え方を述べる長谷川氏
国際宇宙ステーションの安全確保を例に、危機管理の考え方を述べる長谷川氏
 長谷川氏は、ISSにある日本の実験棟「きぼう」の安全確保の手法として、対象を明確にした上で、合理的かつシステマティックに起こりうる事故の要因を洗い出して解決策を講じる「ハザード管理」という手法を用いていると説明。
 死傷事故の防止を例に挙げ「典型的な『人間がその場にいたら死ぬだろう』という項目をリストアップして、要因がシステムに含まれていないかチェックする。例えば毒ガスなら使わないようにしたり、封じ込めたり、どうしても使わなければいけないときはコントロールしている。ちゃんとできないものは、警報装置が作動すれば逃げるとか。このように段階を踏んで評価していく対応をとる」と述べた。

 リストアップには、FTA*1と呼ばれるトップダウンの方法と、FEMA*2というボトムアップの手法を組み合わせ、事故要因を漏らすことなく拾っていることを紹介。
 さらに「みんなで知恵を集めて安全審査パネルを作り、専門家チーム、開発チームが集まって評価する。1回きりではなく、進捗状況や開発のスピードに合わせてチェックする」と語った。

 その上で「安全の話は、基本的には網羅性」と、穴のないような危機管理を行う必要性を強調。
 一方で「過度な安全要求ではなくて、ある程度社会的な了解が得られる必要性と十分性をどこに見つけるか。時代の流れで十分性はずいぶん変わる。常に社会的な意義に配慮しなければならない」とも述べ、バランスの取れた対策の重要性も主張した。

 このほか、「IT人材育成セッション」では、今年4月に初めて実施されたITパスポート試験*3の実施結果が、IPA情報処理技術者試験センター長の川口修氏から報告され、分析を基にしたパネルディスカッションも開かれた。

 報告によると、応募者は4万6845人、受験者は3万9131人で、合格者は2万8540人、合格率は72.9%。
 応募者の内訳は、年齢別では17歳の4091人が最も多く、23歳以下が全体の4割と若年層が目立ち、最高齢は83歳、最年少は11歳となっている。
 また、約7割は社会人で、勤務先別にみるとユーザ系企業が54.7%とやや多かったものの、ベンダー系企業も45.3%。社会人経験年数は、ばらつきが見られた。

 合格者の内訳は、年齢別に見ると21歳以下の合格率が43.4%と低く、22歳以上の83.5%に比べて大きな差に。最高齢は82歳男性、最年少は13歳の中2女子だった。
 勤務先別に合格率をみると、ベンダー系企業が85.0%、ユーザ系企業は88.0%。社会人と学生の得点を分野別にみると、新しい技術動向や正確な知識を求められる問題、業務・実務で遭遇するようなテーマで社会人が上回る結果になった。

ITパスポート試験の意義について意見が交わされたパネルディスカッション
ITパスポート試験の意義について意見が交わされたパネルディスカッション
 ディスカッションでは試験実施の意義について、テプコシステムズ取締役の田子友延氏が「広くユーザにも試験が浸透すれば、共通語としての理解が深まるのではないか。学生の時にぜひ受験して、IT産業に関心を持ってほしい」と指摘した。
 東京電機大学情報システム学科教授の布広永示氏は「試験が整備され、学生が将来の人材像を描きやすくなった。学生の基礎力を評価するのに有効だ」と語った。

 次回は10月18日に実施が予定されており、応募動向や実施結果が注目される。

 今回のIPAX2009ではIT全般に関する話題が飛び交い、多くの問題点、課題の解決策が報告された。中でも中小企業の情報セキュリティ対策に対する考え方や、JAXAの事例は、多くの企業関係者にとって経営のヒントになったのではないだろうか。


「IPAX2009」セミナーレポート(1)



※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。




注釈

*1:FTA(Fault Tree Analysis)
故障・事故の分析手法の一つで、日本語では「故障の木解析」と呼ばれる。起きてはならない事象を仮定した上で、そこから事故等に至る道筋を順序立てて図に洗い出し、原因を探っていく。

*2:FEMA(Failure Mode and Effect Analysis)
故障・事故の分析手法の一つで、日本語では「故障の影響分析」と呼ばれる。システム等の設計や工程における潜在的な欠点を洗い出したうえで、予測される故障、結果の重大性を把握し、事故等を未然に防ぐ。

*3:ITパスポート試験
IT関連の業務に携わるすべての人を対象とし、情報処理技術者試験の中でも最も基礎的な知識を問う試験。情報処理技術者試験改革で2009年度からスタートし、経済産業省主催で年2回行われる。これに伴い、従来の初級システムアドミニストレータ試験は2011年末で廃止される。


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