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公認会計士松澤大之
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「IPv6 Summit 2009」が開催

 財団法人インターネット協会は5月27日、慶応義塾 協生館 藤原洋記念ホールで「IPv6 Summit 2009」を開催した。現在、主流となっているインターネットプロトコル*1「IPv4 (Internet Protocol version 4)」に代わる新しい技術として提唱されている「IPv6(Internet Protocol version 6)」について、産学から識者らが集い議論を交わした。

 「IPv4」に代わり「IPv6」が提唱されてきた背景には、IPアドレスの枯渇問題がある。有限であるIPアドレスの在庫数が底をつき、新製品や新しい端末などにアドレスを割り振ることができなくなるという問題だ。すでに割り振ってある端末を維持することは可能だが、それ以上の発展が不可能になる。

前村氏は「アドレス枯渇問題の本質的対策にはIPv6の導入が必要」と訴えた
前村氏は「アドレス枯渇問題の本質的対策にはIPv6の導入が必要」と訴えた
 講演で社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の前村昌紀氏は「IPアドレスの在庫の枯渇は必ず起きる」と断言した。同問題はインターネットが誕生したときから提起されてきたが、インターネットの急速な普及でIPアドレスの消費数も増加するようになったため、再認識されるようになってきている。
 IPv4の空間にはIPアドレスが2の32乗=約43億存在する。しかし2009年2月の時点では5億4千万程度しか在庫がない。ここ数年では毎年約1億6千万のIPアドレスが消費されていくため、同氏は「2012年までには在庫はなくなる。仮に中古のIPv4アドレス再分配をしても、需要分を賄うには程遠いだろう」とした。

 一方「IPv4」に代わる技術として提唱されている「IPv6」にはIPアドレスが2の128乗=約340澗(かん)存在する。340澗は1兆の1兆倍の340兆倍にあたり、100億人の人間が一人当たり100兆個のIPアドレスを毎年使い捨てても、340兆年持つほどの数になるため、実質無限と言える。そのため、「IPv6」の導入はアドレス枯渇問題に対応するだけではなく、今後はPCのみならず、ネットワークを経由した家電など様々な機器を利用するにあたっても、無数にIPアドレスを割り振ることが可能になるという利点もある。
 総務省の「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」最終報告書でも「ネットワークはIPv4ネットワーク及びIPv6ネットワークの双方を構築し、遅くともIPv4アドレス在庫枯渇前までにIPv6による接続を基本サービスに含まれるものとする」としてIPv6への移行を促している。また「IPv6」は「IPv4」と比較してセキュリティが高く、管理者の負担も低いといった特長もあり、2004年ごろから東西のNTTが「IPv6」によるインターネット接続のサービス提供を始めている。

 ところが、2005年の末ごろ、NTT東西が提供するBフレッツが閉域網内でIPv6アドレスを提供開始したことから、ISPが利用者にIPv6でインターネットを提供しようとすると接続障害が発生することが判明した。この問題はNGN*2にも引き継がれているため解決に向けて、NTT東日本、NTT西日本及び社団法人インターネットプロバイダー協会(JAIPA)間で解決策について協議され、先ごろNGN上での「IPv6インターネット」対応については2011年4月には提供可能となる目処がついた。
 しかしNGN以外のネットワークの「IPv6」への対応状況についてJAIPAの木村孝氏は「ADSL事業者やケーブルテレビ事業者、現在のIPv4ユーザへのIPv6サービスの対応もこれから」として、IPv6の浸透が進んでいる一方で、今後も解決すべき課題が存在することを明らかにした。

最後に行われたパネルディスカッションではIPv6の技術を利用した新サービスなどの紹介もあった
最後に行われたパネルディスカッションではIPv6の技術を利用した新サービスなどの紹介もあった
 また慶応義塾大学環境情報学部教授で、総務省の「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」の構成員でもある中村修氏は「新しいインフラとしてIPv6はなくてはならない技術であり、今後どうあるべきかという議論を重ねる必要がある」と、改めてIPv6普及と問題解決に向けた議論の必要性を強調した。

 今回のシンポジウムのように民間レベルでも財団法人が総務省・経済産業省のバックアップを受けて「IPv6」に関するシンポジウムを開催し、国側でも総務省自らが調査研究会などを度々開き諸問題について検討を図るなど、官民ともに浸透に向けて尽力している。
 インターネットが欠かすことができないインフラとして普及している現在、ITのさらなる発展を妨げかねないアドレス枯渇問題解消を含め、今後もこのようなシンポジウムを通した地道な「IPv6」普及・啓発に期待をしたい。


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



注釈

*1:インターネットプロトコル
 インターネットの基盤となる規格であり、インターネット上のあらゆるデータのやり取りはこのインターネットプロトコルを使って実現されている。この技術ではデータの送り主やあて先を住所に相当するIPアドレスという数値で示すため、IPアドレスが枯渇すると利用者の拡大などに問題が生じる。

*2:NGN(Next Generation Network)
 NTT東西が2008年から提供を開始した次世代の通信網のこと。NTTでは回線として光通信網を使い、電話サービスや映像通信サービス等を共通のインフラ上で提供できるネットワークを構築した。


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