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慶大DMC機構最終年次シンポジウムが開催

 慶應義塾大学DMC(Digital Media and Content)機構は3月6日、同大学三田キャンパスにて、DMC機構最終年次シンポジウム「グローバル創造社会をデザインする」を開催した。DMC機構は2004年に文部科学省の科学技術振興調整費「戦略的研究拠点育成プログラム」に採択されて以来、デジタル・メディアやコンテンツが切り開くグローバル創造社会の具現化に向け、研究開発、国際産官学連携の活動、人材育成などを行ってきた。そして最終年度を迎えた今年、DMC機構の5年間の活動を総括するシンポジウムを開催した。


講演する村井純 DMC機構長代理
講演する村井純 DMC機構長代理
 DMC機構長代理の村井純氏が行った組織改革成果報告によると、同機構の展開は以下3つの時期に分類される。1.国際拠点(シンガポール)の構築や研究者任用によるデジタル・コンテンツ研究の推進、人事制度の確立などの創設期(2004年7月~2005年9月)、2.研究者プロジェクトの公募と選定、中間評価に向けた成果の集約の稼働期(2005年10月~2007年11月)、3.社会貢献と経済自立が可能なプロジェクトの事業展開、事業評価に向けた成果の集約の時期である展開期(2004年7月~2009年3月)だ。同氏は他にも2006年度の組織・制度改革として、大学院メディアデザイン研究科の枠組みについて話した。

 研究成果報告ではPMO委員長の斉藤賢爾氏が発表。同氏は「DMCラボでの成果は多岐にわたり、多彩な成果が出ている」とした。代表的な研究プロジェクトの中で、4K Digital Cinema(4K)ライブ映像を用いた動画配信の研究を説明した。
 たとえば地上デジタル放送では画素数1440×1080ドット、フルHDになると1920×1080ドットで配信を行っているが、4Kでは4096×2160ドットという圧倒的に高い画素数であり、解像度が飛躍的に増している。またHDTVは20~50Mbpsに対し、4Kは200~400Mbpsと非常に大きな帯域となっている。DMCでは、これを2005年の9月に4K 超高精細映像の太平洋横断(東京・サンディエゴ間、約15,000km)によるリアルタイム伝送実験に成功している。さらに2008年12月に4K超高精細映像による多地点テレビ会議の実験(東京・サンディエゴ・シカゴ間)に成功している。このことは、たとえば医療においてこのような高精細映像の配信技術が応用できる可能性を示唆したことになる。
 その他、斉藤氏はデジタル知財の分野では、デジタル技術を活用した子どもの創造力、表現力を育む活動を推進する「デジタルキッズ」の取り組みや、建築物をデジタル化した図面、写真などの資料をアーカイブとして収集することで、貴重な資料の保存と活用の促進を図る「DAASコンソーシアム」の設立といった代表的な取り組みを解説した。

 一方、文部科学省科学技術・学術総括官の岩瀬公一氏は、「DMC機構は科学技術のシステムを改革してきたわけだが、『しっかり実践する』『調整費終了後も持続させる』『システム改革の経験を他大学と共有する』が今後の取り組みとして重要なことである」とした。

講演する岩瀬公一 文部科学省科学技術・学術総括官講演する岩瀬公一 文部科学省科学技術・学術総括官
 同氏はその上で、システム改革後に、その改革の成果を残し、持続・発展させていくことがさらなる改革につながる、と提言した。
 また、システム改革を行って、非常にうまくいったが、そこで止まると「もったいない」ということ、すなわちシステム改革が特定の機関で日本の研究開発全体、科学技術の全体を改革したいという思いで行っているのであり、先導的な取り組みや経験を他の大学も共有できるようにしてほしい旨を話した。


講演する安西祐一郎 慶応義塾塾長
講演する安西祐一郎 慶応義塾塾長
 慶應義塾大学塾長の安西祐一郎氏は「これからの時代は、知識の創造と流通、これをデジタル技術ベースにして行かなければならない。これはまぎれもない世界共通の流れである。しかし残念ながら日本の大学は、本筋では、なかなかその方向に向かわないが、それを乗り越えなければならない」と話した。
 同氏は「グローバル・ナレッジ・シェアリングの時代を作っていきたい。また、日本の大学のいわば硬い組織の構造を打ち破っていかなければならない」と語った。

 慶大DMC機構は同シンポジウムによって、学部の枠を越えた連携をはかり、デジタル・コンテンツについての研究活動を行ってきたこと、他大学の先駆けとなるような研究をしてきたことは非常に意義深い。今後も、同大学の一研究にとどまらず、様々な大学が追随していくような波及効果を目指してほしい。

※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。




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