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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
(動画あり)

「東京大学が「理想の教育シンポジウム」を開催

 東京大学は、東京大学本郷キャンパスにて「理想の教育シンポジウム」を開催した。


講堂には多くの聴衆がつめかけた
講堂には多くの聴衆がつめかけた
 今回のシンポジウムでは、「理想の教育」をめぐり、東京大学が実際に推進している講義を含めて、東京大学の各教授陣から新しい教育の実態が紹介された。大学の学部関係者ほか、文科省官僚などが詰めかけ、新たな教育の可能性について耳を傾けていた。




「学術俯瞰講義」について説明する藤原毅夫教授「学術俯瞰講義」について説明する藤原毅夫教授
 大学は専門分野に特化して掘り下げることで、知識を増やし続けてきた。しかし専門分野が増えるにつれ、分野同士の交流が行われることがなくなり、深い知識がバラバラに存在する状態になってしまった。その結果、社会が抱えている様々な問題点を解決するための知識のありかがわからなくなっている。
 世界的な人口がピークを迎え、衰退に移ると予想される2050年頃までには、人類が抱える課題を解決し、点在する知識を俯瞰的に見ることができる人材を育成する必要がある。
 東京大学では2005年より、「学術俯瞰講義」を開設し、1、2年生に提供している。学術俯瞰講義とは、学問の位置づけや体系を知り、学問領域同士のつながりを理解するための講義である。専門の異なる複数の教員が1つの講義を作るため、準備に手間がかかるが、その分、質の高い講義になっている。
 大学総合教育研究センターの藤原毅夫特任教授は「学術俯瞰講義をもとに、今後は、中高校の教師向けなどにも受講できるようにしてきたい」と展望を語った。

理想の教科書について語る美馬氏
理想の教科書について語る美馬氏
 また、細分化された知識同士を組み合わせることで、新しい学問や教育方法が生み出される可能性についても発表がなされた。工学系研究科 工学教育推進機構の美馬秀樹准教授は、ウィキペディアでも使われているWikiシステムと自らが研究開発した構造化システムを使った「クラウドテキストブック」を提案した。
 新しい知識は、知識と知識を組み合わせることで創造できる。美馬氏の構造化システムを使うことで知識の関係性が容易に探り出せ、さらにWikiシステムを統合することで、そのまま引用、項目作成ができる。これにより新たな知識の創造が容易になる。
 関係性の探り出しから、項目作成、編集までがダイレクトにできるのが「クラウドテキストブック」の強みだが、加えてWEBを介した直接編集が可能なため、新しく作られた分野や最新の知識がすぐにWEB上の教科書へ反映される。そのため、これまでの新しい知識の取得に必要であった「サーバへのアップロード」や「出版」という過程を経ずとも、最新の研究成果を教科書に反映できる。知識が共有できるまでのタイムラグを極力なくすことができる点でもこのシステムは画期的と言える。
 美馬氏は「今後は、WEBという垣根の低さや共有の容易さ、さらにはリアルタイム性を生かして、小中高教材への応用や、人・組織・知識を超えた議論の場としての活用が考えられる」とした。

 より複雑化し、深化していく知識の全体像を理解する作業は、もはや人間の手のみで解決することは不可能になっている。IT技術を人間が効率的に利用することにより、今後もよりよい知識の創造が進められていくことを期待したい。

※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



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