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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
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東京都医師会がレセプトのオンライン義務化について言及

 東京都医師会は、千代田区にある東京都医師会館で「第21回 医療とITシンポジウム」を開いた。直前に迫っている、レセプトのオンライン義務化に向けて、具体的な方法と現場が抱えている問題点について、東京都の医療関係者が集い意見を交換し合った。


多くの医療関係者が会場につめかけた多くの医療関係者が会場につめかけた
 世間のIT化への流れや、事務作業の効率化などを考えれば、将来的には全医療機関においても、レセプトを含んだIT化が行われる方向にある。しかし東京都医師会理事の大橋克洋氏は、IT化への流れを認めながらも「政府が推進するレセプトオンラインの義務化は拙速ではないか」と疑問を呈し、「医療の現場にとって無理のないIT化をするべきだ」と訴えた。
 月に数件しかレセプトを書かない医療機関では手書きで十分であり、レセコンを導入する意義は低い。東京都社会保険診療報酬支払基金の発表によると、レセプトの「全手書き」を行っている医療機関は東京都全体の13%存在する。
 レセコンをすでに導入している医療機関においても、電子データを紙に打ち出して提出する、あるいはフロッピーなどの電子媒体にデータを移して郵送する、などという形式をとっているケースが大半であり、レセプトの電送まで「完全オンライン」化している医療機関の割合は、東京都全体の3%程度とかなり少ない。

 また東京都の各地区の医師会らが、地区の医療機関を対象に行った、レセプトオンライン化に対する意識調査の結果を公表した。そのデータでは、レセプトオンライン化が完全義務化となった場合に、一定の割合で「廃院」を考えている医療機関があることを共通して指摘。地区の医療関係者は「医療を効率化するためにIT化を進めているのに、廃院する機関が出ては本末転倒では」と話す。

地域の医師会からは様々な意見が飛び交った
地域の医師会からは様々な意見が飛び交った
 東京都のレセプト受付件数の割合は「完全オンライン」が18%、「全手書き」が2.9%であり、「完全オンライン」「全手書き」を行っている医療機関の割合とは逆の数字になる。この結果から、レセプトの請求件数が多い大病院ではオンライン化が進み、請求件数が少ない小規模の医療機関でオンライン化が進んでいないと考えられる。
 各地区の医師会らの報告でも、オンライン化に非積極的な医療機関は、経済的に体力がない小病院か、医師が老齢であるといったケースが実際に多いとしている。それらの医院を説得しレセコンを導入させるのは困難と言えるだろう。
 東京都医師会は、レセコン会社のグループ診療ソフト利用による電送代行という手段を提案しているが、システムの限界(受け負える医療機関数や1医療機関あたりの電送枚数)や人手確保、保守契約など課題点も指摘された。

 レセプトのオンライン化を事務作業効率化、国民健康基盤構築への布石、医療崩壊・少子高齢化への対応策としている国側と、オンライン義務化により置いて行かれる医療機関への配慮を国に求める医師側と、思惑の違いは大きい。医療機関は国民すべての生活に関わるものだけに、双方の歩み寄りによる、よりよい選択を期待したい。

※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



注釈

義務化の年数と医療機関の関係。厚生労働省のデータをもとに弊社で独自に作成
義務化の年数と医療機関の関係。厚生労働省のデータをもとに弊社で独自に作成(クリックすると拡大します。)

*:レセプトのオンライン義務化
診療報酬明細書(レセプト)の請求オンライン化のこと。レセプトとは、診療を行った医療機関に対する報酬を、点数で表記し保険者に請求する書類。また義務化については医療機関の状況により、時期が異なる。診療所(19床以下、ある入院施設がない医療機関)の場合、レセプトコンピュータすなわち、レセコンがあれば平成22年4月1日から、レセコンがない場合は平成23年4月1日から義務化となる。病院(20床以上)の場合レセコン導入具合によって変わるが、やはり平成23年4月1日までには義務化される。



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