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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
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セミナーレポート
「特許・情報フェア&コンファレンス2010」が開催

 事業のグローバル化が進み、特許情報や知的財産の管理や活用の必要性が高まっている中、「特許・情報フェア&コンファレンス2010」が11月10日~12日に開催された。同イベントは、国内外の特許情報の動向と知的財産に関する最新情報が得られ、その規模は国内最大級だ。開催期間中には、様々なセッションが繰り広げられ、多くの来場者が詰めかけた。

産業財産権情報サービス市場について語る南氏
産業財産権情報サービス市場について語る南氏
 1日目には、特許庁 特許技監 南孝一氏が「産業財産権情報に関する特許庁の取り組み」と題して講演を行った。産業財産権情報とは、特許・実用新案・意匠・商標の出願・管理下に伴って発生する技術情報および権利情報のことで、現在では特許庁が管理を行い、それらの情報を公開している。

 だが、企業や個人が求める情報やニーズは多種多様であり、特許庁がすべて対応できるわけではない。そのため、同庁では1997年よりインターネットでの情報提供を開始するとともに、民間事業者にフォーマットが共通化・標準化された加工しやすい情報を提供。民間業者は特許情報管理システムや、統計分析サービスなど、高付加価値をつけた多種多様なサービスを提供するという官民連携した運営を行っている。南氏は、産業財産権情報サービス市場が1999年から2005年にかけて35%成長していると指摘した上で、「国と民間企業で役割を分けてベストミックスをすることで、今では様々なサービスが生み出され、一般ユーザーに有益な情報が提供でき、発展機会が与えられているのではないか」と語った。

 このほか、データ管理をさらに整備してデータの無料提供や、外国特許庁に向けた英語での日本の出願審査結果の情報提供、インターネットでのインタラクティブ申請などを進め、「ワンストップ・ポータルによる情報のリアルタイム提供を目指していきたい」(南氏)としている。
高木氏は世界の特許データは今後ますます増大すると指摘
高木氏は世界の特許データは今後ますます増大すると指摘
 世界的な知的財産権の保護を促進する国連の専門機関である世界知的所有権機関(WIPO)事務局長補の高木善幸氏は、「グローバル時代の特許・情報インフラのあり方について」をテーマに話した。高木氏はまず、近年世界の特許出願傾向として、中国やロシア、インドなどの特許出願が増えていること、企業の特許出願が自国だけでなく、海外でも行っているケースが増えていることを指摘。「特許にかんするデータは、10年、20年後、莫大な量になる。今後は、どれだけ質の高いデータを高速で検索できるかが課題だ」と語った。

 また、WIPOでは、知財データのグローバル・データベースの構築を進めているが、質の高いサービスを提供するには各国がバラバラのフォーマットでデータを作成するのではなく、国際的に標準化されたフォーマットに則ってデータを作成することが重要だという。そこで、WIPOでは各国にその指導をするほか、検索結果を人の手を介さない機械翻訳できちんと読めるよう精度を上げていく。高木氏は、「各国と協力しながら1つ1つデータベースにリンクしていく。そして、誰もが利用しやすい環境を提供していきたい」と述べた。
2日目の会場には多くの人が詰めかけ、中国への関心の高さがうかがえた
2日目の会場には多くの人が詰めかけ、中国への関心の高さがうかがえた
 2日目には、中国や欧米の特許情報・知財情報にかかわる講演が行われた。
 中国での知財情報や訴訟にかかわる講演を行ったのは、ウエストロー・ジャパン リーガルリサーチコンサルタントの袁 藝(えん い)氏だ。中国では、専利(特許、実用新案、意匠)出願および専利権の付与は非常に増えており、2011年には出願数が米国や日本を抜いて1位になる予測も出ている。
世界の特許出願数の推移と予測(出典:米国トムソン・ロイター社「PATENTED IN CHINA」)
世界の特許出願数の推移と予測(出典:米国トムソン・ロイター社「PATENTED IN CHINA」)
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 だが、一方で知財訴訟の数が増加しており、その内訳は渉外案件が多数を占める。袁氏は、中国の訴訟の特長として賠償額が巨額であることを指摘。中国企業の正泰がフランスに本部があるシュナイダーエレクトリックを訴えた訴訟では3.3億元(約48億円)、中国企業の武漢晶源が日本企業を訴えた訴訟では、5061万元(約7億8000万円)の損害賠償が認められた。また、中国企業が海外で訴えられる訴訟も増加。中国企業が海外企業に支払った賠償額はすでに10億ドル(約832億円)を超えているという。
 袁氏は「中国でビジネスを展開する場合は、リーガル・コンサルティングサービスを使って事前に専利権を調べ、中国で比較的取得しやすい実用新案をまず取得して自分の知財の保護・防御を行うべき」とアドバイスした。
米国での特許クリアランス鑑定書の取得の重要性を訴えるソロミタ氏
米国での特許クリアランス鑑定書の取得の重要性を訴えるソロミタ氏
 非常に多くの特許出願がされている米国で新製品を出す際には、特許のリスクマネジメントが必要となる。そのノウハウを紹介したのがアムスターロススタイン&エベンスタイン 法律事務所のマイケル・ソロミタ氏だ。
 ソロミタ氏は、米国で新製品を出す際に特許弁護士から「第三者の特許侵害の問題はない」という証明になる「特許クリアランス鑑定書」を取らなかったために訴えられ、新製品が製造・販売できなかったケースを紹介。製品にかかわる特許を調べ、関係性の高い特許を特定し、鑑定書を取得する重要性を訴えた。

 また、鑑定書を取得する際は抜けのない調査が重要であり、それを外部に委託するには膨大なコストがかかるため、製品にかかわる特許の洗い出し、および製品に関係性の高い特許を絞り込むまでは、製品知識を豊富に持つ社内メンバーが行うことを勧めた。そして、もし第三者の特許を使用していることが発覚した場合は、「その特許技術の権利を取得することから、特許技術の回避の方法や製品の販売を中止することまで考えて今後のアクションを決めることが重要」と述べた。

 企業のグローバル化が進めば進むほど、特許情報・知的財産権の重要度は増し、その管理・運用の重大さを感じるセミナーであった。


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。





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