国立国会図書館データベースフォーラム2010が開催:コラム:ハミングヘッズ

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国立国会図書館データベースフォーラム2010が開催

 2010年10月22日、「国立国会図書館データベースフォーラム2010」が東京都千代田区の同館東京本館にて開催。資料デジタル化推進の概要や、自宅PCでも閲覧できるデータベースの活用法等が紹介された。

国立国会図書館 総務部企画課 電子情報企画室長 遊佐啓之氏
国立国会図書館 総務部企画課 電子情報企画室長 遊佐啓之氏
 平成21年度第一次補正予算において約127億円の予算が計上され、現在、国会図書館では蔵書資料のデジタル化が進められている。予算額については、前年度(平成20年度)が約1.3億円であったことを考えると、いかに大規模予算であるかが分かる。フォーラムの冒頭では「国会図書館における資料デジタル化の推進」と題し、同館 総務部企画課 電子情報企画室長 遊佐啓之氏が登壇。その実施状況や検討課題について報告した。

 今回デジタル化される蔵書は、古典籍資料、官報、学位論文、戦前期刊行図書、戦後期刊行図書(1945~1968年納本分)、雑誌(戦前~2000年刊行分)等。このうち、戦後期刊行図書と雑誌は、当面インターネット公開はされず、館内PCでのみ閲覧可能となる。インターネット公開の可否は主に著作権保護の観点によるもの。今回の計画が終了すれば、国内図書の約1/5にあたる約89万冊がデジタル化されることになる。

 2009年の著作権法の一部改正により、国会図書館においては、所蔵資料を納本後直ちに電子化することができるようになった(従来は、劣化・損傷している場合に限定)。法改正の趣旨は、所蔵資料を劣化する前に電子化し、文化的遺産として保存することにある。

 しかしデジタル化資料の利用提供については、出版者・著作者など権利者の経済的利益や出版ビジネスへの配慮が必要である。これを受け、著作権者団体、出版社団体、大学および公共図書館をメンバーとした「資料デジタル化及び利用に係る関係者協議会」が2008年より設置された。遊佐氏は「協議会において、館内利用の基本要件や実施手順、例えば“複写はプリントアウトのみ、デジタル複製は行わない”等の合意を進めている」と語った。

 遊佐氏はさらなるデジタル出版物の利活用に向け「現状、スキャンされた画像データであるデジタル書籍の全文テキスト化(テキスト検索等を可能にする目的)を視野に入れている」と語る。同氏は続けて「しかし実現のためには、図書館と民間ビジネスの境界範囲、利用ルールについてさらなる協議が必要である」と今後の課題を示した。
国立国会図書館 関西館 電子図書館課 澤井絵美氏
国立国会図書館 関西館 電子図書館課 澤井絵美氏
 インターネット及び館内PCで公開されているデータベースの種類・活用方法については、同館関西館 電子図書館課の澤井絵美氏が紹介した。まず、「近代デジタルライブラリー」では、同館が所蔵する明治・大正・昭和前期刊行図書、約39万冊のデジタル画像を収録(2010年9月現在)。そのうち17万冊に関しては、著作権処理が行われインターネット上で公開されている。これらは国会図書館のホームページを通じて、自宅PCから閲覧可能なだけでなく、印刷や個人PCへの保存もできる。

 また、「インターネット資料保存事業(Web Archiving Project)」も紹介。これは更新・閉鎖等で失われやすいインターネット情報を定期的に収集・保存することで、紙と同じように後世に残すことを目的とされている。澤井氏は「例えば、現在すでに閉鎖されている『2002年FIFAワールドカップ(日本組織委員会)』や『防衛庁(現・防衛省)』のサイトも保存されており、国立国会図書館のホームページを通じ、自宅PCからでも閲覧可能である。また、2009年7月の国立国会図書館法の改正(2010年4月施行)により、当館は公的機関のWebサイトに関して、著作権者の許諾なく収集できるようになった」と説明した。
国立情報学研究所名誉教授/情報知識学会会長 根岸正光氏
国立情報学研究所名誉教授/情報知識学会会長
根岸正光氏
 最後に、国立情報学研究所名誉教授/情報知識学会会長の根岸正光氏が演壇に上がり、「情報リテラシーの水準原点 ―国会図書館のデータベース事業に期待する」と題して講演した。

 根岸氏はまず、インターネット社会における情報リテラシーの重要性を説明。「Web上で玉石混交の大量情報が氾濫する時代においては、必要な情報を判別することが重要で、そのためのスキルが問われる時代になっている」と話した。

 上記対策のひとつとして、根岸氏は国会図書館事業のひとつ「リサーチ・ナビ」を挙げた。「リサーチ・ナビ」とは、国会図書館ホームページ上で提供される検索機能であり、同館職員が調べものに有用であると判断した図書館資料、Webサイト、各種データベース、関係機関情報(政府・自治体・学術団体等)がテーマ・資料別に表示される。

 根岸氏は「検索結果については宣伝や権威付けをするものではなく、あくまで国会図書館の情報リテラシー、つまり情報源に対する選別眼や評価・判断能力を、ユーザが拝借できる仕組みであり、有用なシステムである」と述べた。

 国会図書館のデータベース事業への取り組みが紹介され、その活用可能性の広さを感じると共に、情報リテラシーの重要性を再認識したセミナーであった。


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



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