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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
(動画あり)

セミナーレポート
企業のソーシャルメディア活用に関する講演が開催

 一般社団法人インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)は2010年9月14日、港区赤坂にある山王健保会館にてセミナー「企業のソーシャルメディア活用におけるインターネット有害情報対策」を開催した。

挨拶をする相磯秀夫氏(写真)が代表理事を務める
I-ROIは企業のソーシャルメディアの活用について
有識者を呼んで講演を行った
挨拶をする相磯秀夫氏(写真)が代表理事を務める
I-ROIは企業のソーシャルメディアの活用について
有識者を呼んで講演を行った
 TwitterやFacebookなど、多様化するソーシャルメディアは手軽であるため、キャンペーン等に利用する企業が増えている。その反面、青少年インターネット環境整備法に反する有害情報を流してしまったり、運用方法や消費者対応を誤って「炎上」*1 させる。また、ニセのアカウントに気付かずに放置して信頼性を失うといった問題が見受けられるようになってきている。
 今回のセミナーではそうしたソーシャルメディアを利用する際のメリット・デメリット、リスクマネジメントという視点で講演が行われた。

 NTTレゾナントの藤代裕之氏は元地方新聞の記者出身で、ソーシャルメディアを研究している立場から講演。現状で国内ブログ総数は約1,690万件、記事総数約13億5,000万件にも膨れ上がっている状況を説明し、「誰もが簡単に情報発信できる時代」になったと指摘。企業にとって、最大の変化として「人々の情報発信が企業に影響を与える時代」になったことを挙げ、マスメディアだけではない対応を迫られることになったとの現状を語った。

 同氏はそのような時代になったメリットとして、ブロガーを発表会に呼ぶなどといった手段でより多くの人に情報を開示することで、企業が発したい情報を伝達する手段が増えたことを挙げた。その一方、企業や情報そのものに対する誹謗中傷やサイトの「炎上」といったデメリットも存在するとした。
NTTレゾナントの藤代裕之氏はソーシャルメディアで
情報を発信する個人を味方にすることが、ネット上で
問題が発生した時に有効になると説明
NTTレゾナントの藤代裕之氏はソーシャルメディアで
情報を発信する個人を味方にすることが、ネット上で
問題が発生した時に有効になると説明
 また、吉野家の吉野家のテラ豚丼事件*2のように、社内の人物がソーシャルメディアを介して一般に公開したことが問題となった事件にも言及。こうした事件などを題材として、ソーシャルメディアで情報を発信する個人を味方にする必要性を重要視した。
 同氏は「全員を味方にする必要はないが、シンパシーを感じてくれるような人たちをインターネットやソーシャルメディア上につくることが得策。これは人間関係と同じこと」とし、信頼を失ったときには第三者の存在が大切であるとした。

 一方、個人がメディアのように情報を発信している以上、企業自体もメディア化していくことは避けて通れないと明言。しかしその場合の課題として、メディアの特性に対する企業の無理解や、社内事情との対立、メディアに関わったことのある人材の不足、メディアリテラシーの欠如といった事情を挙げた。

 ADKインタラクティブの太駄(おおた)健司氏は同社主席研究員の立場から、実際に同社でソーシャルメディアポリシーを策定した 経緯などを説明した。
 ソーシャルメディアポリシー(以下:ポリシー)とは、企業が、消費者や顧客との対話を促進するためにソーシャルメディアのリスクを検討して策定する基本原則のことだ。

 このポリシーを策定する背景について同氏は、企業のマーケティングに関わる立場からソーシャルメディアを正しく理解してうまくつきあっていきたい、自分たちにポリシーの策定支援の相談が今後出てくるかもしれない、といったことが起因となったことを紹介した。
ADKインタラクティブ総研の太駄(おおた)健司氏は
実際に同社でソーシャルメディアポリシーを策定した
経験を語った
ADKインタラクティブ総研の太駄(おおた)健司氏は
実際に同社でソーシャルメディアポリシーを策定した
経験を語った
 太駄氏はまず、ポリシー策定の際に先行して動き出している企業の研究に着手。Social Media Governance という百件以上ものポリシーが掲載されているサイトを参照するなど、企業のポリシーを見渡した上で分析を行ったことを公表した。例えば、コカコーラ社のポリシーには、同社の製品の批判がブログにあった場合に、どう対処するかなどが書かれており、参考になったという。
 また、同氏は策定したポリシーに関して策定の流れを以下のように分類した。

  1. メディアと消費者の変化、マーケティングのインパクト、リスクを理解するなど、ソーシャルメディアの概要とポリシーの必要性を理解する「準備段階」
  2. 各種法令、業界規則、社内規則との連携を考慮しながら具体的に作文するなど、ポリシーを策定するといった「策定の段階」
  3. 緊急事態への準備を整えつつ、継続的な見直しも視野に入れた「運用の段階」

 その上で「策定するときに特に気をつけたのは、内容はもちろん、理解・参照しやすくかつ共有のしやすさだった」と加えた。

 企業ごとに抱える事情は異なる。太駄氏は「個別の事情を汲み、各企業に合わせたポリシーをつくることが大事だ」と言う。さらに時間とともに企業の事情やメディアの環境は変化するため、その都度メンテナンスしていく必要もあると付け加えた。

 今回のセミナーではTwitter、mixiなどのソーシャルメディアを企業が活躍していくうえでの問題を挙げ、対策を喚起すると共にいかにしてポリシーを策定するかなど具体性があり先進的で意義深いセミナーとなった。同セミナーをきっかけに企業がソーシャルメディアとの関わり方を再確認してほしいと感じた。


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。




注釈

*1:炎上
ブログやニュースサイトを主とするウェブ上のコメント欄に、ブログ主やニュース記事に対して批判的なコメントが殺到すること。

*2:吉野家のテラ豚丼事件
2007年、吉野家のアルバイト従業員が店舗の厨房内で規定の量をはるかに超えた大盛りの豚丼「テラ豚丼」を作成する様子を携帯電話で撮影、動画共有サイト「ニコニコ動画」にアップロードしたことが問題となり、吉野家自身が謝罪に追い込まれた事件。


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