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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
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セミナーレポート
「第14回サイバー犯罪に関する白浜シンポジウム」が開催

 青少年の育成に好ましくない「有害情報」については2009年に成立した青少年インターネット環境整備法により、携帯電話会社にはフィルタリングの提供が義務化されている。
 しかしフィルタリングの提供を義務化するだけで、青少年のネット環境が劇的に改善されるわけではなく、現状でも様々な問題が存在する。

 こうした問題に対応する取り組みとして、和歌山県教育庁学校教育局学校指導課の池田尚弘氏は同庁が行っている「ネット安全パトロール」について講演。これはホームページやネット掲示板など、ネット上にある不適切な書き込みをチェックするといったものだ。
 例えば青少年に対しての殺害予告など明らかな犯罪情報があった場合、県警の少年課に通報する。その他、いじめを誘因するような有害情報が発見された場合は、学校へ情報を提供して教職員による生徒指導を行う、あるいは和歌山県の人権局に情報を提供してプロバイダなどへ削除依頼を要請してもらうなど、実際に書かれている内容によって対応が分かれるといった仕組みとなっている。
和歌山県の山本久司氏はネット安全パトロール
を実際に行った経験から、周囲の大人の意識改革を訴える
和歌山県の山本久司氏はネット安全パトロールを実際に行った経験から、周囲の大人の意識改革を訴える
 和歌山県の環境生活部青少年・男女共同参画課健全育成班長の山本久司氏は、こうした「ネット安全パトロール」を実際に行った感想を述べた。
 2009年度のネット安全パトロールでは、1130件のサイトを抽出した。その結果、プロフ(プロフィールサイト)に多くの子供が姓名を実名で公表していることがわかった。そして、「Web上では子供の友人も閲覧していることから、嘘の内容は書きにくい」と指摘し、子供が自分の個人情報をネット上に詳細に記入している現状を憂いた。
 また学校の裏サイトについても、詳細な実名で書き込まれている場合があると明言。本人の携帯電話等のIPアドレスが自動的に表示される掲示板もあると言う。
 同氏はネット安全パトロールを行って良かった点として、子供に振りかかるネット犯罪の被害を未然防止ができることはもちろん、大人側にとっても大変勉強になる点を挙げた。同氏は「指をくわえて見ているより、先生や大人が何かしなければならない」と危機感を強めた。
 官民から有害サイトに関する講演が行われる中、マイクロソフトの技術標準部 部長の楠正憲氏は、「有害サイト規制の前に議論すること」と題し、表現の自由などの立場から、場当たり的なブロッキングは過剰になりうる可能性を示唆した。

 楠氏は、フィンランドで違法情報抑制の手段としてDNSポイズニングを利用したため、同国内で「検閲にあたる」という強い批判があがった事例を紹介。この批判により、ブロッキングリスト上のサイトを精査した結果、9割が合法だったという。
 日本においても元来の目的である児童の保護からはずれ、漫画やアニメなど被害者が存在しない表現にまで規制対象を広げる動きがあるなど、法制化の目的があいまいになりつつある。
 同氏は「現行法の拡大解釈での運用ではなく、ブロッキングを法制化できれば、なし崩し的なブロッキング範囲の拡大を防ぐことができる」と話し、法制化が表現の自由も守るという立場を示した。

 その他、S&Jコンサルティングの三輪信雄氏はフィルタリングに全てを任せてしまうことでネットしつけを放棄する保護者にも責任があるとし、情報を遮断するのではなく「有害なものに慣れさせる」という考え方を提示。「親が把握している範囲で『正しく』有害な情報に触れさせて、対処の仕方を覚えさせるべきだ」とした。
警察庁の齋藤正憲氏は今後もサイバー犯罪対策には強く当たっていくと話した
警察庁の齋藤正憲氏は今後もサイバー犯罪対策には強く当たっていくと話した
 サイバー犯罪における捜査指導等を行っている警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課 課長補佐、齋藤正憲氏によると、サイバー犯罪の検挙状況は、2005年から2009年の5年間で約2倍に増加し、それに比例して2009年は児童ポルノの送致件数、送致人員、被害児童数のいずれも、過去最多だったという。
サイバー犯罪の検挙件数の推移とネットワーク利用犯罪の内訳(警察庁、斎藤氏資料より抜粋 クリックすると拡大します)
【参照】サイバー犯罪の検挙件数の推移とネットワーク利用犯罪の内訳(警察庁、斎藤氏資料より抜粋 クリックすると拡大します)
 警察庁では2009年6月2日に、「児童ポルノ流通防止協議会」を発足。児童ポルノを掲載しているアドレスリストの作成・管理といった取り組みなどを行っている。
 さらに政府も、内閣府副大臣や関係省庁の局長級で構成される省庁横断的なワーキングチームを設置し、啓蒙活動や取り締まりの強化などを検討している。

 齋藤氏は「サイバー空間の安全・安心なくして国民の安全・安心なし」と力説し、今後も継続的に対策を行っていくとした。



※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。




注釈

*:DNSポイズニング  
ドメイン管理情報を勝手に書き換えることで、特定のドメインに到達できないようにし、別のIPアドレスに誘導したりする攻撃手法。


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