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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
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セミナーレポート
「第14回サイバー犯罪に関する白浜シンポジウム」が開催

 本格的な夏の訪れを思わせる強い日差しが照りつける中、6月3日から5日にかけ、和歌山県田辺市にある和歌山県立情報交流センターBig Uで、「第14回サイバー犯罪に関する白浜シンポジム」が行われた。和歌山県や和歌山大学、和歌山県警察本部、NPO情報セキュリティ研究所などが主催する中、産官学から多数の参加者が集まった。

実行委員長の脇田一郎氏は「青少年をウィルスや有害サイト
から守ることが急務」と話す
実行委員長の脇田一郎氏は「青少年をウィルスや有害サイト から守ることが急務」と話す
 1997年から毎年開催し、その時期に最も問題となっているサイバー犯罪について取り上げてきた同シンポジウム。今年のテーマは「有害サイトから、子供(我が身)を守ろう」と設定された。
 また、その他にも最新の情報セキュリティに関する講演や、昨今急速に市場が拡大しているクラウド・コンピューティングについても議論が交わされ、多面的な視点で講演や話し合いが行われていた。
 冒頭のあいさつで、実行委員長の脇田一郎氏は、小学校高学年でインターネットを触れる割合が80%以上に上る現状から、青少年をウィルスや有害サイトから守ることが急務であるとした。また和歌山県警察本部本部長の永松健次氏は青少年のサイバー空間における安全性を憂慮し、モラル教育を強化していることを伝えた。そして産官学など様々な専門家の意見や研究成果の情報を共有することでそれぞれの分野に生かすことが必須であるとした。

 そもそも、ネット上には違法には当たらないものの、犯罪行為に結び付いたりするような、いわゆる「有害情報」が氾濫している。有害情報をどう取り扱うか、また子供がその情報と接する可能性についてどう対処していくか、有識者から意見が挙げられた。
財団法人インターネット協会の吉川誠司氏は有害サイトの現状について、
実際のサイトを紹介しながら説明
財団法人インターネット協会の吉川誠司氏は有害サイトの現状について、実際のサイトを紹介しながら説明
 財団法人インターネット協会の吉川誠司氏は、「有害サイトの現状と課題」と題し、同協会が運用するインターネット・ホットラインセンターで取り扱う情報を中心に、有害情報の事例と課題について説明した。
 このなかで同氏は、違法情報を1.名誉毀損やプライバシー侵害、著作権や商標権侵害といった権利侵害情報と、2.わいせつ物や児童ポルノ公然陳列、規制薬物の広告、出会い系サイトでの禁止誘引行為といった社会法益侵害情報に分類。有害情報を1.違法情報ではないものの、違法行為を請負・誘引等する「公序良俗に反する情報」と、2.多くの人にとって不愉快に感じる情報や青少年の健全育成に好ましくない情報に分類し、それぞれに対する規制状況を説明した。

 違法情報に対しては、刑法、著作権法、出会い系サイト規制法や特定電子メール法*1といった罰則付きの関係法令が存在するが、「有害情報」については罰則規定のない青少年インターネット環境整備法*2があるのみで、「公序良俗に反する情報」に至っては情報そのものを規制する法律が存在せず、いずれも自主規制のみで対応しているのが現状だ。それだけに、有害情報を容認するサイトがあった場合にはそこに情報が集約される形となり、削除されないままとなるが、同氏は「それらが果たして表現の自由として手厚く保護するに値する内容なのか、事例をご覧いただいた後、改めて考えて欲しい」と述べた。
森亮二氏は民間の団体が自主規制を行うことが望ましいと話す
森亮二氏は民間の団体が自主規制を行うことが望ましいと話す
 青少年インターネット環境整備法は、一定の事業者に対してフィルタリングの提供を義務づけられている。また、インターネットに関わる業界が、安心ネットづくり促進協議会や流通防止協議会、I-ROI、EMAなど様々な自主規制の団体を作り対処している。
 フィルタリングは利用者が自主的に行うものの、ブロッキング*3ついては一方的に通信内容を確認して遮断するため「通信の秘密の侵害にあたり、違法行為にあたる」という意見も強い。

 こうした事由について、弁護士の森亮二氏は「社会的正当性が認められる場合(正当行為)や危機をさけるためにやむを得ない行為(緊急避難)として違法行為にならないと考えることは可能か」という違法阻却事由をテーマに取り上げて解説した。
 業界団体も違法情報のうち、児童ポルノのみは正当行為や緊急避難が適用されるという見解を持っている。
 森氏はリスト作成・管理について「政府における作成・管理は検閲にあたる恐れがあるので、民間のイニシアティブで実行するのが望ましい」とし、今後も業界団体で自主的な規制を続けていくべきだとした。



※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。




注釈

*1:特定電子メール法
正式名称は特定電子メールの送信の適正化等に関する法律。無差別かつ大量に短時間で送信される広告などといった迷惑メールを規制し、インターネットなどを良好な環境に保つ為に施行された法律。2008年成立、施行。

*2:青少年インターネット環境整備法
2008年6月11日に可決・成立した「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」のこと。18才以下の人間が携帯電話やパソコンを利用してインターネットを閲覧する際に、その閲覧を制限するフィルタリングの設定を義務づけている

*3:ブロッキング
ユーザがウェブサイトを閲覧しようとする場合に、当該ユーザにインターネットアクセスを提供するISPなどがユーザの同意を得ることなく、ユーザがアクセスしようとするウェブサイト等のホスト名、URLを検知し、そのアクセスを遮断する措置。


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