これからの電子政府を考えるシンポジウムが開催:イベント・セミナーレポート:HH News & Reports:ハミングヘッズ

ITをもっと身近に。新しい形のネットメディア

- Home > コラム > イベント・セミナーレポート > これからの電子政府を考えるシンポジウムが開催
 コラムトップページ
 インタビュー記事 ▼
 イベント・セミナーレポート ▼
公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
(動画あり)

セミナーレポート
これからの電子政府を考えるシンポジウムが開催

 世界でも最先端の電子政府を形成した韓国を参考にし、日本の電子政府・電子自治体を考えるシンポジウムが特定非営利活動法人中央コリドー情報通信研究所の主催で5月19日、東京大学・安田講堂で開催された。

 韓国では、医療や介護に必要な情報共有に必要な社会基盤は電子政府だと考えられており、市民の生活にとって便利な電子政府を目指した取り組みが急速に進められている。今回のシンポジウムでは、国民にとっては新たな減税、政府には税収増をもたらした韓国の現金領収書制度などの現地報告を交えながら、日本の電子行政・電子自治体を考えるシンポジウムとなった。
総務省副大臣の内藤正光氏は省庁横断的な
会議などを行うことにより、電子政府の旗振り役の確立を目指すと話した。
総務省副大臣の内藤正光氏は省庁横断的な会議などを行うことにより、電子政府の旗振り役の確立を目指すと話した
 総務省副大臣の内藤正光氏は来賓挨拶で、これまでIT戦略本部で様々なアイデアが出てきたにも関わらず、省庁縦割りの弊害によって日の目を見ることがなかったという事実に触れた。
 その上で、IT戦略本部の下に副大臣級会議を省庁横断的に行うなどの政治主導体制に切り替えることで、「旗振り役をしっかりと作り上げる必要がある」と語った。
 さらに「国民本位の電子行政の実現」や「地域の再生のきずな」を目指したIT戦略本部の戦略骨子案をまとめたことを発表。行政刷新、見える化、オープンガバメントというキーワードをもとに今後電子政府を推進していくことを明らかにした。
 一方、韓国国税庁電算情報管理室の劉在哲(ユ・ジェチョル)氏はHome-Tax(韓国の電子納税制度)について講演した。同氏は納税者側にとっては直接税務署を訪問しなければならない不便さや、納税者の国税庁に対するニーズの多様化、国税庁での税収および事業者が増えたことによる業務量の増加が、同制度を普及させる背景になったことを解説。2002年に消費税、源泉所得税など8種の税科目を電子申告化したことを皮切りに、2004年の各種証明書のインターネット発行、2007年の国税に付加される地方税のインターネット納付、2008年のクレジットカードによる国税納付など、これまで推し進めてきた流れを説明した。Home-Taxの加入者数は2009年12月時点で1120万人となっている。

 また、現金領収書制度についても紹介した。この制度の流れは、1.消費者が加盟店に現金を支払うと同時に、本人確認のため携帯電話の番号などを申請する。2.商店は現金領収書事業者に現金領収書の発行要請を行う。3.現金領収書事業者は商店に現金領収書の発行を承認し、4.商店は消費者に現金領収書を発行する。その後、5.現金領収書事業者は取引内訳を転送し、6.消費者が使用内訳の照会を行うことで、消費税の税額控除が受けられるといった仕組みだ。
韓国の現金領収書制度の仕組み
韓国の現金領収書制度の仕組み
(劉在哲氏の資料をもとに作成。 クリックすると拡大します)
 同氏はこうした取り組みなどが功を奏し、2008年時の経済効果として国税庁の時間、節減額として125億円、納税者の時間、交通費等の節減額として334億円となったことを公表した。

 電子政府実現に向けた日本の取り組みについては、内閣官房参事官の小宮義則氏が講演。日本の光ファイバー率やブロードバンド速度といった情報基盤は世界最高水準であるにも関わらず、利活用が問題となっていることに触れた上で、5月11日のIT戦略本部で策定された新たな情報技術戦略について言及した。
 具体的な方針として、
1.行政サービスを自宅のオンラインで利用できるようにするとともに、行政端末をコンビニ、郵便局などに配置することで、行政サービスの利便性を向上させ、24時間利用できる環境を実現できるようにする。

2.個人情報を確保して府省、地方自治体間のデータ連携を可能とする電子行政の共通基盤として2013年までに国民ID制度を導入する。

3.2013年度までに、2次利用可能な形での行政情報をインターネットから容易に入手可能にするといったオープンガバメントの推進
などを推進していくことを明確に提言した。

 小宮氏は今後の検討事項として「2010年5月を目途に具体的な取り組みのスケジュール、担当府省を明記した工程表を作成するなど、実施体制を確立し、情報通信技術の利活用を拒む既存の制度の徹底的な洗い出しを行っていく」と力を込めた。
内閣官房参事官の小宮義則氏。IT戦略本部で策定された新たな情報技術戦略について語った
内閣官房参事官の小宮義則氏。IT戦略本部で策定された新たな情報技術戦略について語った
 今回のシンポジウムでは韓国の電子行政がいかに最先端を走っているのかを確認することができた。同時に日本について考えたときに、今後、どのような対策を打つべきか再確認する良いきっかけとなった。韓国をはじめ、世界と比較したときに、日本の状況、電子行政の進展度合を計るためにも、このようなシンポジウムが定期的に開催されることを期待したい。


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



お問い合わせ

  コラムトップページへ▲