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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
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「平成20年度第2回関東テレコム講演会」が開催

 総務省関東総合通信局と社団法人テレコムサービス協会関東支部は、2008年10月15日、東京港区のメルパルク東京で「平成20年度第2回関東テレコム講演会」を行った。秋冷が心地良いこの日、100人を越える聴衆が集まり、会場を埋め尽くした。


会場は熱心な受講者で埋め尽くされた
会場は熱心な受講者で埋め尽くされた
 講演者として、次世代のネットやITについて多数の著書を出しているフリーのITジャーナリストである佐々木俊尚氏、日本のデジタルコンテンツの世界的普及を図る総務省情報通信国際戦略局情報通信政策課の谷脇康彦氏が壇上に立ち、IT分野における今後の可能性と課題や実際に計画されている政策などについて語った。



今後のネット社会について語る佐々木氏
今後のネット社会について語る佐々木氏
 佐々木氏は今後のポスト・グーグルについてのネット社会の見通しや、近い将来実現するであろう新技術を3つ紹介した。

 1つ目は、情報が爆発的に増え、より的確に知識を得ることが可能になってきた昨今の情報獲得手段について話した。例えばデジカメを買うだけでも、価格.comから2ちゃんねるまで製品の使用感やお得情報などがあふれかえっており、情報収集しないと損をしたような気にさせられる。ところが爆発的に増える情報を個人では収集できないため「ユーザごとに必要な情報が送られてくるサービス」や「嗜好の異なる各ターゲットにしぼりこんだ検索エンジン」の需要を訴え、そのような技術が世に出てきたとき「WEB3.0時代」と呼ばれるだろうとした。

 2つ目に、ここ10年ほどでインターネットツールとしてPC以外の機器の存在感が増してきていることに触れた。平成生まれのユーザは、中学生の時に持った携帯電話で初めてインターネットに触れ、しかもそのときにはすでにネットが使い放題という「ケータイネット世代」である。彼らは、ネットの中心が携帯電話であり、PCは仕事用にしか使わない。ところが団塊世代ジュニアは、WEB業界の中心層となっているにも関わらず携帯電話をほとんど使わず、ネットの中心がPCになっている。そのためにWEB業界内での今後増えていくであろう携帯電話を中心としたネット使用に対する理解度が低く、IT業界の発展のためにはその認識差を埋める必要があるとした。

 3つ目にネットによるリアル世界への進出について触れた。インターネットの総ページ数は1兆ページともいわれるが、人・動物さらには石や机、建物などといった「現実世界にあるオブジェクト」の数は1兆という数字をはるかに超えている。ネットビジネスは、広告ビジネスと結び付いており、現実世界にある無数のオブジェクトと広告を結び付けることが可能になれば、膨大なビジネスになる。そのため現実空間と仮想空間を結び付けるgコンテンツ*1は広大なビジネスとして期待されている。まだ現在のところ、gコンテンツの要となる、現実に仮想空間を結びつける技術「AR*2」は、実験段階ではあるものの、実用化には、技術的な積み重ねが必要であり、今後の技術開発が期待される。
 一方、佐々木氏は米国と比べて、技術開発の環境が未発達な日本の現状を指摘。「今後、米国に負けないためにも日本もIT技術促進を進める体制作りが根本から必要になるだろう」と話した。

携帯電話キャリアの壁を越えることについて語る谷脇氏
携帯電話キャリアの壁を越えることについて語る谷脇氏
 次に携帯電話の機種・機械の境界を越えるコンテンツやビジネス展開の展望について、谷脇氏が総務省の掲げる目標などについて説明した。

 谷脇氏はPC、携帯電話といった垣根をなくし統合したサービスが受けられるネットワークへの進化を目指すことで、利便性に富んだコンテンツ事業の開発や、ビジネスモデルを拡大しやすい市場を促進し、利益の最大化を得られるような基盤整理をしたいとした。
 さらに、そのような試みのさきがけに、まず携帯電話キャリアの壁を越える事業として、NTTドコモは全ホームページに向けて共通ユーザIDの自動発信を開始した。ところがこのIDはキャリアを変更した場合に引き継ぐことができず、キャリアの壁を越えたIDというには程遠い。また携帯会社を変えてもそのまま使えるのは現在においても電話番号のみであり、あらゆるサービス、メールアドレスなどはキャリアを超えて使うことはできない。
  ユーザIDシステムがキャリアの垣根を越えて共通化すれば、携帯電話に限らない、住基カード、パスポートなどといったあらゆるサービスでさえも連結できる可能性を示した。反面、個人情報保護の観点からはまだまだ課題が山積みであり、技術的・組織的な解決の必要性について、現状の携帯電話が抱える問題点として示唆された。

 日本国内はグローバル化に向けての基盤がまだまだ脆弱であり、数多くの問題点が残されている。急速に発展を遂げるIT業界において世界から取り残されることのないような、官民双方の努力が必要だと考えさせられた。

谷脇康彦氏「ICT産業の国際競争力を強化する必要性とは」インタビュー記事はこちら

「『デジタルサイネージジャパン2009』が開催」セミナーレポートはこちら

「無線通信サービスの最新動向と経済効果を官民が報告」セミナーレポートはこちら

※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



注釈

*1:gコンテンツ
位置情報に関係したコンテンツのこと。地図をデジタル的に作成することで位置情報をデジタル情報と結びつける技術。リアル空間をインターネットに取り込んでいく試みの1つ。

*2:AR(拡張現実:Augmented Reality)
人間の視覚から専用のデバイスなどを経由することで、現実空間にPCからの情報を重ね合わせて見ることができる技術及びその環境のこと。


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