「情報化月間2008記念講演会」が開催:イベント・セミナーレポート:HH News & Reports:ハミングヘッズ

ITをもっと身近に。新しい形のネットメディア

- Home > コラム > イベント・セミナーレポート > 「情報化月間2008記念講演会」が開催
 コラムトップページ
 インタビュー記事 ▼
 イベント・セミナーレポート ▼
公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
(動画あり)

「情報化月間2008記念講演会」が開催

 経済産業省、内閣府など6府省で構成する情報化月間推進会議と関係団体が主催する「情報化月間2008記念講演会」が2008年10月1日に開催された。


広い会場に多くの人が詰めかけていた
広い会場に多くの人が詰めかけていた
 1970年代初めに起きた「情報化社会への波」に対応するため、当時の通信産業省(現在の経済産業省)が各省庁に協力を呼びかけて始まった「情報化月間」も今年で37回目を迎える。

 今回のテーマは「Global,Open,Green!」。情報化月間の開幕にあわせて月頭の10月1日には、ANAコンチネンタルホテル東京において記念講演や特別講演から式典まで数多くのイベントが行われた。省庁、企業のスペシャリストが語る最新技術や、卓越した技術を披露する講演などが目白押しだった。
 
開幕の挨拶をする牧野氏
開幕の挨拶をする牧野氏
 記念講演の開幕の挨拶として、財団法人日本情報処理開発協会の牧野力会長は「携帯電話や家電のような生活必需品から、国や企業、産業の世界的活動にまで、ITは非常に貢献している」として、今日、我々の生活にとってITは欠かすことができない位置づけにあることを強調した。
 一方で「情報化が進む中で環境に対する配慮や、セキュリティ、プライバシーなど問題点も数多く出てきているため、特にこの情報化月間と定められた10月に、解決の必要性を意識していきたい」と話した。

IT活用について語る山内氏
IT活用について語る山内氏
 次に大成建設の山内隆司社長が「総合建設業におけるITを活用した多角的サービスの取り組み」について講演した。山内社長は「作業所Net」という発注や工程の管理などを一括で行うシステムを使用することで、「経費節減とクオリティの維持」という、相反する命題を同時に解決できた例を示した。
  また同社が、世界各国で請け負っている建設事業でのIT活用例も紹介。海峡の工事において、本社の潮流予測システムと海外現場をGPSでリンクし工事を行うといった活用法や、世界の建設現場に合わせて各地の設計事務所とインターネットによるリンクで情報を共有するなど、ITが業務に欠くことができないシステムとして確立している現状を語った。

各業界の重鎮が熱い議論を交わしあった
各業界の重鎮が熱い議論を交わしあった
 午後には「情報システムの信頼性向上に向けて」というテーマで、パネルディスカッションも行われた。パネラーには野村総合研究所の椎野孝雄理事、NTTデータの重木昭信代表取締役副社長執行役員、社団法人日本情報システム・ユーザー協会の細川泰秀専務理事、みずほフィナンシャルグループの本山博史常務取締役が参加した。ほか、インプレスビジネスメディアの田口潤取締役がモデレータとして進行役を勤めた。

 1つのシステムが、最終的に顧客の求める信頼性にたどり着くためには、ベンダー側の開発による下地に加えて、システムを利用する企業による業務運用上での作りこみが不可欠である。実際にシステムのトラブルは仕様から起こる欠陥よりも、運用上発生するミスが多く、利用者側の企業に理解を求めていく必要性が論じられた。
 また利用者がベンダーにシステム開発を発注するにあたり、業務において実現したい機能(在庫管理をしたい、情報を共有したいなど)の要求は基本的に行われるのに対して、業務に直結しない機能(レスポンスは何秒以内、システムダウン時は○時間以内で復旧してほしいなど)について利用者側から語られず、そのような齟齬が開発期間の延長や、利用者側にとっての予想外の仕様を生み出してしまうという問題点も提起された。

 ほか、利用者とベンダー間のギャップを埋めるツールの1つとして、開発費用500万円につき1つの欠陥がある状況を「1/500」と表現する「品質尺度」という単位が提案された。1/500を標準的なシステムと位置づけることで、これより低い数値を求める場合はさらに高い開発費用が必要になり、これより高い数値の場合は利用者側からベンダーに改善を要求するという目安になる。この単位を考案した細川氏は「標準的な開発目標がないため、要求の高い仕事にも正統な報酬が払われないケースが多々発生する。指標ができればそういったトラブルもなくなる」と述べた。

 ベンダー側とソフト利用者という2sつの立場から「情報システムの信頼性」について意見が活発に交わされ、顧客にとって満足できる情報システムの信頼性を向上させるためには、相互への歩み寄りが必要なことが確認された。

ソフトウェア開発について語る田渕氏
ソフトウェア開発について語る田渕氏
 また記念講演と並行して、独立行政法人情報処理推進機構の主催によって、「記念式典特別行事」が開催され、業界有識者らによる講演が多数行われた。
  その中で「情報セキュリティセッション」と題し、同法人セキュリティセンターの田渕治樹リサーチフェローが「ソフトウェア開発の仕様設計からはじめるセキュリティ確保のあり方」について講演し、ソフト開発の各工程で必要なセキュリティ対策を策定する必要性を語った。
  同氏は「リスクの対処として正確・完全かつ有効に機能すべきであり、その保証を利用者が確認することは困難であるため、ベンダー側に漏れのないソフトウェア開発のプロセスが必要である」とした。
 
技術継承というIT業界の課題に討論は白熱
技術継承というIT業界の課題に討論は白熱
 一方、経済産業省は「専門家コミュニティ活動パネルディスカッション」として、業界に様々なコミュニティを作りIT業界の人材育成に尽力している人物を集め、今後の業界の活性化について講演を行った。
  ディスカッションでは「IT業界というと『仕事がきつい』『残業が多く家に帰れない』といった印象が抱かれがちで、それが昨今は学生の間に広まり、イメージが悪くなっている」という意見が出され、若手の育成にそういった発言が悪影響を及ぼしていることが懸念材料として挙げられた。

 加えて「業務上、作業が深夜に及ぶこともあるが、それはいつものことではない。それよりも新しいものを作り上げるクリエイティブな産業であることを知ってほしい」としてIT業界への理解を求めた。また新人育成が上手くいっていないIT企業が多いという問題点も指摘され、「新人育成の成功例を共有し合えるコミュニティが、企業同士の横のつながりの中で必要である」という意見も出された。    

 今回の多々ある講演で効率化・情報高速化、共有などITの持つ多くの可能性を探ることができた。またそれと同時に、急速な勢いで拡大をしていく業界が抱える様々な角度での問題点も浮き彫りになった。今後社会のインフラとして、ITが業界内にとどまらず社会全体に貢献・活躍していくために、これらの問題点を丁寧に解決していく必要性を感じさせられる会だった。


「情報化月間2009記念講演会」が開催


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



お問い合わせ

  コラムトップページへ▲