セミナーレポート

モバイル・ワイヤレス技術の展示会

様々な課題や最新技術についての講演もレポート

2013/6/20

 携帯電話、スマートフォンなどによる、移動無線通信などが急速に普及している現在、ワイヤレスによる技術の注目度は高まっている。2013年5月29日から31日にかけて、ビッグサイト(東京国際展示場)ワイヤレス技術に関する展示会「ワイヤレスジャパン2013」が開催された。

 会場には携帯電話やスマートフォン、モバイル関連のコンテンツのみならず、基地局・ネットワークインフラなどワイヤレス技術に関する様々な企業が集い、日本国内の市場・業界が一望できる展示会となっていた。

主催のNICTのブース。様々な研究結果が展示されている
主催のNICTのブース。様々な研究結果が展示されている

展示会から見える業界模様


 近年のスマートデバイスの進化と発展がめざましく、通信速度、通信容量ともに爆発的増加している。特にスマートフォンによる動画など大容量のコンテンツ閲覧と、LTEなどに代表される、高速移動通信の発展により「ワイヤレス」という技術は、とても身近なものになっている。そのため現在は「モバイル」「ワイヤレス」単体よりも、インフラとして一般的なビジネス革新へと繋がったり、あるいは他産業との融合により新しい製品を開発するというフェーズに入っている。


 例えば、パイオニアはクラウド+ARの業務用カーナビ「カロッツェリア」を展示。画面に映し出された現在の映像に、AR(拡張現実)の技術を用いて画像を重ね合わせることで情報を表示したり、あるいはクラウドとリンクすることで交通規制の情報や駐車場の込み具合、渋滞でも「左車線が空いている」などの細かい情報まで知ることができる。こうした製品はまさにモバイル・ワイヤレスの技術を基盤として既存の製品と融合した、新しいカタチと言えるだろう。


 ビジネス的な製品以外にも、スマートフォンセキュリティ協会のブースでは「スマートフォン&タブレットの業務知用に関するセキュリティガイドライン」を配布していた。同協会は2011年頃から、スマートフォン関連の企業などが中心となって課題などを挙げ、ガイドラインの策定を行っている。当日に配布していたのは、2012年10月に作られた、BYOD(Bring Your Own Device、業務への個人端末の持ち込み)に関するガイドライン。BYODのリスクや利用シーンごとの脅威やOSの違いなどがまとめられており、BYODを導入するにあたって気を付けるべき点がわかりやすくなっている。会場ではこうした幅広い展示がされており、現在のモバイル・ワイヤレス業界の姿が見えた。

NTTブロードバンドプラットフォーム
代表取締役社長 小林忠男氏   エリクソン・ジャパンCTO 藤岡雅宣氏
NTTブロードバンドプラットフォーム 代表取締役社長 小林忠男氏   エリクソン・ジャパンCTO 藤岡雅宣氏

関係者の講演から


 同ビッグサイト内にある会議場では、ワイヤレスの業界関係者による基調講演が行われた。Wi-Fiを全国各地に設置して、レンタルする事業を行っているNTTブロードバンドプラットフォーム代表取締役社長である小林忠男氏から、現在のWi-Fi設置に関して解説があった。Wi-Fiとは、無線LAN規格の一種で、国際標準規格IEEE802.11規格を使用しているものを指している。


 同社はWi-Fiのスポットを様々な場所に設置して、幅広い対応機器に対して貸し出す形で事業を行っている。Wi-Fiは国際規格のため、携帯電話のみならず、スマートフォンやゲーム機に対応したり、スポットとして、店舗に置いて開かれたネットワークの入り口にもなる。


 こうしたWi-Fiの国際規格による汎用性を生かし、例えば福岡市の公衆無線LANサービスやあるいは任天堂の携帯ゲーム機専用ネットワークなど、幅広い企業の事業に活用されている。Wi-Fiは、移動通信回線の3GやLTEに比べて速度が速く、固定サービスよりも移動しやすいため、同社では固定回線、モバイルに次ぐ、第3の通信として位置付けて重要視している。また近年、急速にトラフィックが増加しつつある移動通信回線の避難通信経路としても、Wi-Fiは期待されており小林氏は「今後は、さらに普及が促進するだろう」と話した。


 エリクソン・ジャパンからも、CTO(最高技術責任者)である藤岡雅宣氏が登壇し、無線通信がこれから抱えるだろう課題について講演した。藤岡氏は「モバイルデータトラフィックは2012年から2018年にかけてトラフィックは12倍になると予測されている」と話す。これらの要因は、動画などの大容量のファイルのやり取りが増えたことと、インターネットを快適に行えるスマートフォンの存在が大きい。


 デバイス数の増大も大きな問題だ。2020年までに「つながることでメリットのあるもの」はすべてつながるため、世界で500億ものデバイスがネットワークに繋がると予想されている。トラフィック増大に関しては、ほか「5G」(第5世代)に関する検討も進行している。5Gへの移行は2020年よりも後だとは言われているが、近年のトラフィックの増加を鑑みれば、求められるようになるのも時間の問題だろう。


 またトラフィック増大に際しては、回線が混雑するという問題以外に、エネルギーの効率化・エネルギーコスト削減も課題になってくる。また電力の問題は、コスト増の問題だけではなく、電力線がないところへの設置や、基地局の密度を上げるためのエネルギー確保と言った問題にも関係してくるため単純ではない。こうした課題は、今後、業界でも議論や研究を進めていく必要があるだろう。


 最新技術と共にいくつかの課題も挙げられた今回の展示会だが、今後ますます需要が上がるこの業界においては、今後、早急な対応が求められる。

 (井上宇紀)

【セミナーデータ】

イベント名
:ワイヤレスジャパン2013
主催   
:独立行政法人情報通信研究機構(NICT)ほか
開催日  
:2013年5月29日~31日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

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