セミナーレポート

Japan IT Weekでスマホに関する講演

ビジネス目的においてもスマホ利用の拡大か

2011/11/14

 2011年10月26日から28日にかけて、千葉県にある幕張メッセでJapan IT Week 秋が開催された。Japan IT Week 秋は、幅広いIT関連などの製品を取り引きする、いわゆる「展示会」であり、毎年100社以上が参加している。同じ会場内では、並行して有識者による関連セミナーも多数開催され、講演ごとに3000~5000人程度が参加する大規模なものとなった。

KDDI研究所出展。タブレット上などにあるファイルを暗号化するソリューション
KDDI研究所出展。タブレット上などにあるファイルを暗号化するソリューション

スマートフォン市場拡大を再確認


 展示会場内は、「クラウドコンピューティング」「情報セキュリティ」「Web&モバイルマーケティング」「スマートフォン&モバイル」の4つのゾーンに区分けされ展示が行われていた。しかし、どちらの区分けにおいても「スマートフォン」関連の製品が軒を連ねていた。「スマートフォン」によるクラウド利用、「スマートフォン」における情報セキュリティ、「スマートフォン」におけるマーケティング…。


 2011年はiPhone4Sが2キャリアから発売され、Android携帯の市場も一挙に拡大するなど、スマートフォンの市場は今年、劇的に変化しており、まさに「スマートフォン戦国時代の幕開け」に相応しい年となっている。展示会場にもそれは反映されている。情報セキュリティゾーンでは、スマートフォン上のデータを暗号化するソリューションが紹介されていたり、Web&モバイルマーケティングゾーンでも、文字コンテンツなどをスマートフォン用に展開していくためのツールがあるなど、「スマートフォン社会にどう対応していくか」ということに重点が置かれた展示会となっていた。

サイバートラスト株式会社の北村祐司氏   NTTドコモの代表取締役副社長の辻村清行氏
サイバートラスト株式会社の北村祐司氏   NTTドコモの代表取締役副社長の辻村清行氏

講演でもスマートフォンの話題が…


 会場内で行われた講演でもスマートフォンの市場拡大は確認できたが、一方で様々な課題も提示されていた。「情報セキュリティ」分野でのセミナーでは、スマートフォンの業務利用と、それのセキュリティ対策の講演が行われた。登壇したサイバートラスト株式会社の北村祐司氏は、スマートデバイス(スマートフォンとタブレットなどの総称)のビジネス利用における脅威について説明している。


 同社の調査によると大企業などでも業務効率化、オフィスコストの削減などを目的として導入が進んでいる一方、マルウェア対策などのセキュリティ上の課題を感じている企業が多いという結果が出ている。このような事態を予測して、キャリアなどで作られた業界団体も今年の5月25日「日本スマートフォンセキュリティフォーラム」を結成。「スマートフォン&タブレットの業務利用に関するセキュリティガイドラインβ版」を公開するなどして、ビジネスの利用における脅威に備えている。


 北村氏は「スマートデバイスの利用目的を明確化し、セキュリティの要件と、実現可能性の差を把握した上で、目的を損なわない範囲で、かつ実現可能なセキュリティポリシーを策定する必要がある」として、業務へのスマートデバイス導入までの道筋を明示した。


 「スマートフォン&モバイル」分野での専門セミナーでは、NTTドコモの代表取締役副社長の辻村清行氏が登壇し、普及における問題点を示した。


 スマートフォンの市場は急拡大を続けており、2014年頃には世界における移動通信端末販売の半分がスマートフォンになると予想されている。一方でその販売台数の増加がトラフィックの増大という事態を生んでいる。さらに日本は、ほかの国に比べて端末の通信容量全体にしめるデータ通信の割合が2割~4割程度多いという特徴もあり、トラフィック負荷増大については、より深刻な問題となっている。


 この事態に対して各キャリアも対策を練っているが、そのひとつに4G回線の設置計画がある。先日ソフトバンクモバイルも4Gサービス開始を予定していることを発表したが、NTTドコモも4Gで使われる技術「LTE-Advanced」の基礎に当たる3.9G「LTE」を使ったXi(クロッシィ)というサービスを展開し、4Gサービスに備えている。Xiは、まだカバー人口が少ないものの、急ピッチでアンテナの整備を行っており、2014年には98%の人口をカバーする予定になっている。


 ほかにもNTTドコモは、新しい周波数を獲得や、上位1%程度のヘビーユーザに対する通信速度制限、通信を通常回線以外に逃がす「データオフロード」のためのWi-Fi設備の建設などで、快適な通信環境を保つための施策を進めている。辻村氏は「これらの対策を行うことで、少なくとも10倍程度のトラフィックには対応できる。その間に次の技術(4G)への対応を進めていくことで、良好なネットワーク品質を常に確保するための適切な対応をしていきたい」と展望を述べた。


 個人用から徐々にビジネス用へと普及をしてきたスマートフォン。利用する側も、利用される側も、スマートフォン利用を前提とした社会づくりが急ピッチで進められている。スマートフォンの到来は、新たなIT革命の節目となるのか。目が離せない。

(井上宇紀)

注釈

*:4G回線
第4世代移動通信システムで使われている回線のこと。現在プレ4世代、あるいは3.9世代と言われている技術「LTE」並びに「Wimax」の延長上にある「LTE-Advanced」並びに「Wimax2」が4G回線技術とされている。3.4GHZ~3.5GHZ帯などを利用する予定。通信速度は光通信並でありLTE-Advancedでは下り最大1Gbps程度が想定されている。

【セミナーデータ】

イベント名
:Japan IT Week 秋
主催   
:リード エグジビション ジャパン
開催日  
:2011年10月26日~28日
開催場所 
:幕張メッセ(千葉県千葉市)

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