セミナーレポート

東京ゲームショウ2011が開催

スマホ普及で広がるゲーム

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2011/10/11

 2011年9月15日、日本のみならず世界の注目を集める国内最大級のイベント「東京ゲームショウ2011」が開幕した。9月18日までの4日間で22万人を超える来場者となり、活気を呈した。

 新型ゲーム機の発表のみならず、スマートフォンを始めとするモバイル端末用のゲームも伸びてきている。会場ではゲームメーカーではないソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のブースも出展するなど、2011年のトレンドを反映したイベントとなった。

ビジネスデイ1日目に講演したCESA会長の和田洋一氏
ビジネスデイ1日目に講演したCESA会長の和田洋一氏

ゲームをする場所が広がってきた


 初日のビジネスデイでは、東京ゲームショウの主催団体である一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)会長の和田洋一氏が、ゲーム市場の動向を中心に講演した。


 和田氏は、ゲームの歴史に触れ、「1つのゲームに1台が必要だったゲームセンターの筐体から始まり、ソフトを入れ替えて複数のゲームができる汎用機、さらにはゲーム以外にCD・DVD再生もできるゲーム機の登場で、単体のゲームに対する投資割合は世代交代ごとに減少してきている。結果としてコアなユーザしかプレイをしなかった業界から、より幅広い層が参加できるマーケットとして拡大してきた」とコメント。「インターネットでつながった2007年のiPhone発売以来、スマートフォンの普及でゲームのプラットフォームがハードからネットワークになった。これでより一層市場が拡大した」と強調した。


 iPhoneなどスマートフォンの普及によるマーケットの広がりは、ゲーム業界にとっては新たな層を開拓する大きなビジネスチャンスとなる。しかし、その分客層は「ゲームを触るのは初めて」というようなライト層にも広がるため、ゲームへの導入をよりわかりやすくすることが必要となる。ユーザへの課金形態も、かつてはゲームソフトの購入が大半だったが、スマートフォン利用で急速に広まっているソーシャルゲームでは、ゲーム内で利用できるアイテムなどのデータを購入する都度課金の形態が主流となっている。


 和田氏はこうした現状のゲームを取り巻く環境を踏まえ、「今後数年、幅広い層へと普及したゲーム業界は、他のエンターテインメントと戦うことになる。先を見越してゲームを作っていかなければならないと考えている」と述べ、ゲーム業界全体で認識を共有すべきとした。


ソーシャルゲームの台頭


 今回のゲームショウで、巨大なブースを出展したグリー。主に携帯端末向けのソーシャルゲームの提供を行っている同社の田中良和社長も登壇した。


 講演で田中氏はソーシャルゲームの利点を「好きな時に始められること」とした。携帯電話は通信環境がデフォルトで付いている。「いつでもネットワークにつながるゲームと、そうでないゲームでは、ゲームデザインも変わってくる」とした上で、「ゲームをプレイしたいが、買いに行くまではモチベーションがなかった層を取りこんだ」とソーシャルゲームの成長理由を述べた。


 講演後、事前に田中氏へ寄せられた質問に回答するコーナーがあった。この中で、「ヒットするゲームとそうでないものの差は?」という質問について田中氏は「正直分からない。ゲームを出してから中身を変えることが多々ある。アクションだったものが、ウケが悪いという判断から、即座にカードゲームへと作り変えられ、結果としてヒットに繋がったものもある」と述べ、ソフトをユーザへ売り切るゲームと異なり、サーバ側にゲーム本体があるソーシャルゲームの持つ高い柔軟性が、ヒット作品の輩出に繋がる可能性があることを示唆した。

アジア・ゲーム・ビジネス・サミットでは各国のゲーム事情が紹介された   ゲームショウの様子。海外メディアも多く見られた
アジア・ゲーム・ビジネス・サミットでは各国のゲーム事情が紹介された   ゲームショウの様子。海外メディアも多く見られた

中国・台湾・韓国の動き


 中国、台湾、韓国、日本各国のゲーム会社関係者が集った「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット」では、アジア圏のゲーム産業に関連する動向も紹介された。


 モバイル端末事情について、台湾のソフト開発会社・XPECの許金龍氏は「台湾でもスマートフォンは普及しているが、iPhoneが閉鎖的なため、それ以外の端末が伸びている。市場としてはまだまだ小さいが、将来的には1000万台程度までひろがるのではないか」と述べた。


 韓国でもスマートフォンは普及しているものの、ほかのアジア諸国に比べて端末の金額や、ネットワーク利用料金が高いという難点がある。このため、ゲームコンテンツまでお金が回らず、無料ゲームの利用が増えているという。「コンテンツの開発者としてはこの点が難しい。環境をよりよくするためにネットワーク事業者とも連携すべき」と韓国を中心にオンラインゲームの開発・運営をしているNEXON MOBILEのイム・ジョンギュン氏が訴えた。


 アジア圏への展開について、セガの鶴見尚也氏は「これまでコピー品の問題でアジア圏への進出がためらわれていたが、コンテンツをネットワーク上で提供するスマートフォンの普及でビジネスチャンスとなっている」と、展望を語った。


 ネットワークと端末の進化が、ゲームを遊ぶための機械を専用機からスマートフォンを始めとするモバイル端末まで幅を広げている。また、海外への進出も、スマートフォンの普及が後押ししている。ユーザの広がりとモバイル端末で楽しむコンテンツが増える分、ゲーム業界の競争は激化すると思われるが、一方でさらなる活躍も望めそうだ。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:TOKYO GAME SHOW 2011
主催   
:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)
開催日  
:2011年9月15日~18日
開催場所 
:幕張メッセ(千葉県千葉市)

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