セミナーレポート

災害時におけるRFIDの可能性を模索

周波数再編で注目される自動認識総合展を取材

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2011/9/29

 RFID(Radio Frequency IDentification)はタグやラベル上に加工したICチップを様々なものに埋め込み、近距離通信を行ってそこに記憶された情報を読み取ったり書き換えたりする技術のことだ。自ら電波を出さないパッシブ方式と電波を出すアクティブ方式がある。


 このRFIDをはじめ、バーコードや2次元シンボルといった自動認識に関する最先端技術を紹介する「第13回自動認識総合展」が2011年8月31日から3日間にわたって東京都江東区の東京ビッグサイトで行われた。会場では各企業の自動認識技術を用いた製品の紹介や、出展企業による新製品発表などが実施された。金属対応のRFIDタグを金型に取り付けて読み取ることで複雑だった金型業務を効率化する金型管理システム(CSK)や、電子ペーパーを使用した表示器を利用し、非接触通信で表示内容の書き換えが可能になるFelicaチップを組み込んだ「スマートタグ」(アイオイ・システム)などが紹介されていた。

盛り上がりを見せる会場の様子
盛り上がりを見せる会場の様子

災害時におけるRFIDの可能性


 同時開催された「自動認識セミナー」では、非常時におけるRFID活用の可能性や、UHF帯RFIDにおける周波数帯変更についてなど、最新の動向に関する講演が行われた。


 信州大学総合センターのセンター長である、不破泰氏は、「非常災害時におけるRFIDの利活用」について講演。もともと信州大学のある松本市は日本有数の活断層の上にあり、マグニチュード8クラスの地震が来るといわれている。そこで同氏はRFIDの可能性に着目。例えば、携帯電話などに、RFIDのタグを埋め込むことで、緊急時に崩壊した建物などの下にいる人の早期発見に活用できないかを検証。950MHz帯電子タグシステムを用いて、様々な面から電波と特性の基礎的データ収集を行った。その際、注意すべき項目としてリーダの読み取り位置や角度による影響、人体とRFIDの場所による影響、また、人体に覆いかぶさる瓦礫や雪の影響を考慮し検証しているという。


RFIDによる様々な実験の結果


 例えば、「人体の電波伝搬特性測定」の実験では、救助の必要な人が所持する950MHz帯電子タグを読み取る上で、救助される人体の影響がどのように現れるかを、人体の距離と位置を変えながら測定した。この結果、タグを人体から離しても読み取りが可能なことがわかった。


 また、瓦礫の影響について不破氏は「合板や石工ボードに比べ、コンクリートの影響は非常に大きい。しかし開口部から探知することは可能。タグに対する角度や読み取り特性を基に、瓦礫が散乱するだろう実際の現場での探索方法を考案し、実証する必要がある」と語っている。

信州大学総合センター・センター長 不破泰氏   総務省総合通信基盤局移動通信課推進官 豊嶋基暢氏
信州大学総合センター・センター長
不破泰氏
 

総務省総合通信基盤局移動通信課

推進官 豊嶋基暢氏

UHF帯RFIDの周波数再編の動き


 一方、総務省総合通信基盤局移動通信課推進官である豊嶋基暢氏は、携帯電話やRFID、地上デジタル放送などに使われているUHF帯での、700/900MHz帯周波数再編について講演した。


 700MHz帯は、地上デジタル放送に利用されている帯域。2011年7月の地上デジタル放送への完全移行に伴い、2012年の7月24日までにデジタルテレビのチャンネルの周波数を変える「リパック」という作業を一部の地域で行う必要があるという。


 一方、900MHz帯は電波方式を採用しているRFIDやMCA端末(無線通信端末)などで利用されている帯域。RFIDも国際的な周波数帯の協調が急務になっているという。また、現在950MHz~958MHzで利用しているものについては、欧米での割り当て状況を踏まえ、国際競争力強化の観点から915MHz~928MHzへ移行させることが決定している。


 このRFIDの移行については2011年夏までに技術基準などを整備して機器開発などを行ってから、周波数移行を開始。さらに2015年を目途にこの900 MHz帯の空いた部分を携帯電話に割り当てる可能性が濃厚だ。


 豊嶋氏は「携帯電話の市場規模の変化により、去年から海外との共通化を模索している状況。携帯のサービスそのものや、提供している携帯電話もそうだが、周波数帯域についても外国と調和をとって、携帯電話市場を確保していく必要がある」と語っている。


 RFIDなど自動認識技術は進捗著しい分野だ。非常時におけるRFIDの有用性が実験により明らかになるなど、活用できる分野は枚挙にいとまがない。さらにUHF帯RFIDは700/900MHz帯の再編によって、一層注目されている。自動認識技術の可能性を改めて実感させられた展示会だった。

(山下雄太郎)

【セミナーデータ】

イベント名
:「第13回自動認識総合展」
主催   
:日本自動認識システム協会
開催日  
:2011年8月31日~9月2日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

【関連カテゴリ】

IT政策