セミナーレポート

国会図書館データベースフォーラム2011が開催

オンラインサービスの活用方法をわかりやすく紹介

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2011/8/22

 2011年7月20日、「国立国会図書館データベースフォーラム2011」が東京都千代田区の同館東京本館で開催。デジタル化された資料の検索方法や、国会情報や法律を調べられるシステムの使い方など、同館が展開する各種オンラインサービスについて、3人の職員がデモンストレーションを交えながらわかりやすく紹介した。

 台風6号の影響で時折強い雨が降る中、集まった参加者たちは、熱心に耳を傾けていた。

台風の中でも、会場はほぼ満席となった
台風の中でも、会場はほぼ満席となった

国立国会図書館サーチの紹介


 同館 総務部 情報システム課の鈴木絢子氏が壇上に立ち、「国立国会図書館サーチ」について説明した。同サーチは、全国の公共図書館、公文書館、美術館や学術研究機関などが提供する資料、デジタルコンテンツを統合的に検索できるサービスで、現在は開発版が公開されている。


 鈴木氏はこのサーチの目的を「いつでもどこでも利用者が求める形で、的確かつ迅速に閲覧・案内ができるようにすること」だと語った。その上で、資料の詳細を表示したページをソーシャルブックマークやTwitterへ投稿できる外部サービス連携機能や、よく利用する図書館を設定すると登録した図書館の所蔵状況がわかる個人設定機能など、さまざまな工夫がなされていることを紹介した。


デジタル資料化の意義とインターネット資料の保存


 続いて登壇したのは同館関西館 電子図書館課 平井梨絵氏。「広がるデジタルアーカイブの世界」と題した講演の中で、資料をデジタル化する意義について「資料の保存と活用の両立が出来、遠隔地からも利用可能になる」とメリットを説明した。そして実際にデジタル資料を検索してみせ、1942年に編まれた小学校の音楽の教科書や、歴史的音源資料として残されている1929年発売の童謡などを披露。「こうした歌も、インターネットで聴いてもらえる」と平井氏は語った。

首相官邸のWEBページを比較する平井氏   議事録検索について講演する中能氏
首相官邸のWEBページを比較する平井氏   議事録検索について講演する中能氏

 また平井氏は、インターネット上の資料を収集し保存する同館の事業についても言及。「インターネット情報は、頻繁な内容更新やサイトの閉鎖などで、実は紙の資料よりもなくなりやすい側面がある」とした上で、同館ではそれらを資料として残そうと、2002年から定期的にウェブサイトを収集・保存していると語った。対象となるのは国の機関や地方自治体・大学などのWEBサイトだ。プログラムによる自動収集で、頻度は対象によって月1回から年4回。保存されたサイトは同館内で提供されるほか、承諾を得られたものについてはインターネット上でも提供されている。


 デモンストレーションとして、小泉内閣だった2004年11月と、福田内閣だった2008年1月のそれぞれに収集された首相官邸のページを比較し「首相によって大きくデザインが変わっていることがわかる」と指摘した。


 同館は東日本大震災への取り組みにも力を入れているという。被災した自治体のサイトを集中的に保存するため、震災発生直後から収集回数を増やして対応しているほか、震災関連のサイトを集中的に収集している海外の機関と連携し、情報提供などを行っている。


国会情報と法令の検索


 次に壇上に立った同館 調査及び立法考査局 議会官庁資料課の中能淳氏は、国会の情報や法律について調べられる国会図書館ならではのサービスについて説明した。


 国会会議録検索システムは、1947年5月開会の第1回国会から現在に至るまでの膨大な議事録の中から、キーワードや発言者名などさまざまな条件で検索出来るというもの。デモンストレーションとして「(2011年7月20日時点で会期中の)第177回国会で菅直人首相が『東日本大震災』と発言した会議録」を検索。9件がヒットして会議名やその開会日付などが表示され(検索結果は6月末時点のもの)、そのうちの1件を選ぶと、その場面が頭に浮かぶほど詳細な発言内容を読むことが出来た。


 また日本法令索引では、原則として1886年の公文式以降の法令について、改正履歴などの詳細を調査できる。法令の正式名称がわからない場合を想定し、通称でも検索が可能。中能氏が試しに「大震法」で検索すると「大規模地震対策特別措置法」の情報がきちんと出てきた。


 「法案の審議というのは、国会の重要な役割のひとつなので、調べてみたいという人もいると思う」と語った中能氏は、最後に、国会会議録検索システムと日本法令索引を組み合わせて、法案を探す方法を紹介。第177国会に提出された法案のひとつ「地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案」の詳細と、その審議の経過を示して見せた。


 国会図書館と言うと、やはり敷居が高いように感じる人も多いかもしれない。しかし、収集されている情報の数々は歴史の重みさえ感じさせ、これらを活用しない手はない。自宅のPCからでも手軽に調べものが出来るオンラインサービスは、物理・精神の両面で利用者と同館の距離を縮め、奥深い知の世界へいざなう入口になりそうだ。

(井上恭子)

注釈

*:公文式(こうぶんしき)
かつて存在した日本の勅令で、法律、命令の公布の手続き、施行期限や閣令、省令の制定権の根拠などを定めたもの。1886年(明治19年)2月26日公布。1907年(明治40年)公式令が公布されたのに伴い、同令附則で廃止された。

【セミナーデータ】

イベント名
:「国立国会図書館データベースフォーラム2011」
主催   
:国立国会図書館
開催日  
:2011年7月20日
開催場所 
:国立国会図書館 東京本館 (東京都千代田区)

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