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2011/11/21

周波数帯

概要

 周波数帯とは、電磁波などの振動数を表す「周波数」の幅のこと。周波数は重なると、混線をしてしまうため、一定の幅を持って利用できる箇所が割り当てられており、主にこの幅を周波数帯と呼ぶ。限りある周波数の中から割り振られる有限の “天然資源”ともいえる。単位はヘルツ(Hz)。


歴史


 電磁波の歴史は古く、いまから100年以上前の西暦1887年、ドイツの物理学者ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツが離れた場所のコイルへ電磁波を伝える実験を行い、電磁波の実在を証明している。後になってこの業績をたたえ、周波数で使われる単位を「ヘルツ」と定めた。


 ヘルツは、1秒間に発生する振動回数を指す。電磁波の速度=振動回数×波の長さ(波長)で計算され、電磁波の速度は同一空間では一定のため、振動回数と波長は逆数の様な関係になる。周波数の表記は、かつて「サイクル毎秒」(c/s)という単位が使われていたが、1970年代にヘルツに切り替えられている。


 日本では1915年には無線電信法、1950年には電波法が定められ周波数帯を国の財産として管理している。現在、電磁波の送信には総務省の発行した無線免許が必要である。


電波法。国有財産のため外国籍関連の保有を禁止しているが、電磁波の電離層による反射など有益な利用法を見つけたアマチュア無線に対しては寛容な箇所が多い
電波法。国有財産のため外国籍関連の保有を禁止しているが、電磁波の電離層による反射など有益な利用法を見つけたアマチュア無線に対しては寛容な箇所が多い

仕組み


 情報に対して変調を加えて、搬送すべき周波数帯に変換処理を施して発信。受信側は変換処理を施した電磁波を復元する(復調、デコードなどとも呼ぶ)ことで情報内容を取得することができる、という仕組み。


 無線通信における周波数は、高ければ高いほど、単位時間あたりの情報量が多くなる利点がある。また高周波ほど直進性が高くなり、地球大気上層にある電離層も突き抜けることができ、衛星への通信に使われる。


 電磁波や光が建物などの障害物の後ろに回り込む「回折」という現象がある。直進性が高い高周波帯の場合、回折が起こりにくく結果として障害物などの裏側に対して情報を伝えにくくなる。雨の水滴や雨雲などによって電波が拡散・減衰する「降雨減衰」が、周波数が高いほど大きくなり、大雨の日に通信が難しくなるなどという難点もある。


 一方で低周波は、直進性の弱さから回折が発生しやすく障害物に強いという長所がある。また高周波と異なり電離層を突き抜けず反射してくる性質を利用し、長距離による通信も行われている。


現状


 携帯電話の普及により、限りある周波数帯の奪い合いは熾烈な争いになっている。例えば、2011年7月のアナログテレビ終了によりアナログテレビの周波数帯(0.2075~0.222GHz)に空きができた際にも1枠に36もの団体が殺到した。ちなみに最終的にこの周波数帯にはNTTドコモなどが出資するmmbiが「モバキャス」というサービスを出すことで決着している。


 周波数の争奪が過激になる傍ら、諸外国と比較して日本の高周波数帯開発のフロントランナーである宇宙開発事業では、通信関連に多くの予算がつぎ込まれておらず、後れを取っている節がある。利用と開発のバランスの良い政策が望まれる。

(井上宇紀)

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