税務執行におけるデジタル・フォレンジックの活用とは:HH News & Reports:ハミングヘッズ

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鳥羽衞弁護士に聞く―税務執行におけるデジタル・フォレンジックの活用とは」

弁護士
鳥羽 衞
「税務執行におけるデジタル・フォレンジックの活用とは」

デジタル・フォレンジックは税務執行の現場でも活用が大いに期待されている。しかし実際に現場ではどこまで意識されているのだろうか。このことについて国税庁に勤務し、東京国税局局長などを歴任された鳥羽衞弁護士にお話をうかがった。


これまでの経緯

―税務の職場から弁護士になった理由は?また、ITにお詳しいとお聞きしましたがそういう方面に興味があるのでしょうか。

鳥羽衞 弁護士
鳥羽衞 弁護士
鳥羽氏 新しいものが好きで、新しい経験がしたかったからです。ワープロもごく早い段階で使っていましたが、ITに関する知識は乏しかったです。ただ、国税庁にいた時期に、税務執行におけるIT化の動きに関わる機会があり、一通りの勉強はしました。

税務執行におけるIT化

―税務執行におけるIT化の動きとはどのようなものでしょうか。

税務におけるITについて語る鳥羽氏
税務におけるITについて語る鳥羽氏
鳥羽氏 税務執行におけるIT化には3つの場面があります。
 第1は、内部事務のIT化です。今では、「IT化」という言葉も古めかしいですが、最初は大量のデータを反復して取り扱う業務の効率化という観点から、電子計算機が導入されました。
 税務では、申告納税制度の下で、多数の納税者から申告書、法定資料、その他の資料が提出され、申告のチェック、納付の管理等複数の事務において利用。金銭を扱うので正確性が求められます。このため、1961年から事務のコンピュータ化の検討に入り、5年後の1966年に東京国税局に、申告書から入力バッチを作成して、センターで一括処理するバッチシステムのADPセンターを開設し、以後1968年に大阪局、1977年に名古屋局に順次拡大されました。

 これら以外の局署については、1983年、埼玉県朝霞市に国税庁事務管理センターが設置され、オンラインシステムによる事務のコンピュータ処理が開始されました。
 現在使用している国税総合管理(KSK)システムは、このような2系統のコンピュータ処理を統合し全体をオンライン処理するシステムとして、1990年から本格的な開発を開始し、1995年以降、順次導入を進め、2001年からは全国での運用を開始しているものです。
 私自身は、国税庁会計課長として2000年度予算編成でこのシステムの全国展開に道筋をつけました。

―2つ目はどんな場面でしょうか。

鳥羽氏 第2に、納税者サイドのIT化への税務当局の対応として、電子帳簿保存があります。
 会社は、会社法により商業帳簿を備え置くことを義務付けられていますが、これを電磁的記録によって保存することが可能とされたことと並行して、1998年3月、税法で保存が義務付けられる帳簿書類の電子保存を認める、いわゆる「電子帳簿保存法」が制定され、同年7月から施行されました。
 同法では、最初から電子データで作成されたものについてのみ電子保存を認めていましたが、2004年11月にe-文書法*1が成立し、3万円未満の契約書等についてスキャナー読み取りにより電子データ化して保存することを認めたことから、税務上もこれを認めることとして改正され、現在に至っています。
 私は、電子帳簿保存の可否を検討していた1996年当時、国税庁査察課長をしており、保存を認める要件について、査察調査の観点からいろいろと注文をつけたことがあります。要件が厳しくて使い勝手が悪いと言われている原因については一端の責任がありますが、税務には刑事責任を追及する部分もあることから譲れない一線があります。

―3つ目はどんな場面でしょうか。

納税とITの関わりについて話す鳥羽氏
納税とITの関わりについて話す鳥羽氏
鳥羽氏 第3は、納税者とのインターフェイスのIT化であり、具体的には電子申告の導入です。
 税務当局と納税者とのインターフェイスは、毎年2月の確定申告の風景に見られるように、納税者が税務署に足を運んで、職員と向き合って、所用の事務を行うという方式が長らく続いていましたが、これは、IT化が遅れていたというよりは、当局が納税者と直接接する機会を欲していたことによります。
 申告納税制度は、納税者が申告書を作成するという建前になっているのですが、多くの納税者は税法の理解が十分ではなく、放っておけば誤った申告が大量に出る恐れがあるし、人間誰でも欲があるので、出来心で実際の金額より低く申告する可能性もあります。これらを防ぐため、確定申告の際には署に来てもらい、職員が個別に指導して申告書を作成する「納税相談方式」という方法が1950年代から40年にわたり続いていました。

 これを1998年度分の確定申告から「自書申告」に全面的に移行し、制度本来の趣旨に沿って納税者自らが申告書を作成する方式にしました。この方針変更により、納税者とのインターフェイスも利便性を第一に考えることができるようになり、電子申告の導入に向けた環境が整ったのです。
 現在、国税庁は電子申告の普及を最重点事項としていますが、利用件数は毎年増加しており、いずれはこれが主流となっていくと思います。
 国税庁が電子申告の導入を公式に表明したのは平成12年度予算におけるミレニアムプロジェクトの中においてですが、私は会計課長としてこれに関わったので思い出深いところがあります。

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