医療におけるデジタル・フォレンジックの適用とは:HH News & Reports:ハミングヘッズ

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古川俊治 参議院議員に聞く「医療におけるデジタル・フォレンジックの適用とは」

参議院議員
古川 俊治
「医療におけるデジタル・フォレンジックの適用とは」

医療分野においてもデジタル・フォレンジックの技術は年々注目されつつある。その可能性はどれほどあるのか、慶應義塾大学法科大学院教授・医学部外科教授で、TMI総合法律事務所の弁護士でもある古川俊治参議院議員に、医療におけるデジタル・フォレンジックの適用についてお話をうかがった。


アジア初のロボット手術

―デジタル・フォレンジックについて関心を持たれたきっかけは。

古川俊治参議院議員
古川俊治参議院議員
古川氏 私自身、日本でも有数の研究者として、これまで長くロボット医療に携わってまいりました。アジアで初めてロボットを使った手術を行うなど、医療分野におけるIT技術というものに関わってきました。
 同時に、外科的な遠隔医療に取り組んでいくうちに、ネットワーク、特にセキュリティについて研究を進めておりました。フォレンジックの概念はセキュリティの話ですから、そこから医療において情報の機密性が高いことから、今注目されているところです。私は研究を通じて知り合った工学部やネットワーク関係の方々からの誘いがあり、IDF(デジタル・フォレンジック研究会)で医療におけるデジタル・フォレンジックの適用について、主に秋山昌範先生(現・マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院客員教授)と私が中心になって、引っ張ってきたという経緯があります。

高齢医療の可能性

―そうした中で特に関心を持たれているのはどのようなことでしょうか。

古川氏 フォレンジックの概念は、まだそれほど医療現場では必要とされていません。セキュリティという観点よりも、どちらかというとネットワークの有効性を活かしていこうという動きの方が大きいわけです。そこから医療の質を上げたり、コストを下げることができないかということの方が課題で、セキュリティについては二次的な問題です。

 現在は、とりあえずバーチャル・プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)*1や、通信における一般的なセキュリティ技術程度で行っている事例が多く、実を言うとそんなに大きな問題になっていないのです。
 特に外科系の医療では遠隔診療支援のために専用回線を使っています。医療の特質として、容量が途中で変わってしまうことは問題です。外科手術の遠隔診療支援の場合ですと、遠隔地の指導医が通信回線を用いた画像連携で、手術医に、血が出ているから止めろと助言する状況があります。ところが、そういう助言の伝達が遅れたり、画質が悪く指導側が出血部位を特定できなかったりすると、手術自体が失敗してしまいます。そのため、専用回線を使わざるをえないのです。専用回線ですから、こういった医療においては、高度なセキュリティはまだ要求されていないのが現状です。

 ただ、将来的な話としてこれから特に医療情報がセキュリティの必要性が高くなるということは間違いありません。AIDS・進行がん・遺伝病などの重病を患い、そのことが他人に知られると、著しく患者さんの社会的立場を害します。そういった意味でも十分に取り組まなければならない分野だと考えています。

医療における透明性

透明性について語る古川氏

透明性について語る古川氏

古川氏 日本人の特質として、本来危険性は少ないのですが、国民に「遠隔医療をやると危ない」という意識を持たれやすい。その辺の情報の透明性やアカウンタビリティ(説明の義務・責任)という意味でも、デジタル・フォレンジックをしっかりやるということは、セキュリティとともに検証をしっかりさせる側面においても、重要なことだと思っています。
 デジタル・フォレンジックの本来の意味は「事後的な検証可能性」です。それを確固とすることによって、信頼を高めるという考え方もできます。

 現場では、誤記や書き換えの問題はずっと起こってきます。そして医療側の記録ミスから医療事故につながる例は一般的に考えられているより多いのです。特にこれから電子化時代になると、1つの間違いで大量の医療事故が起こりうるわけです。そういうことになるとフォレンジック性は非常に重要です。
 医療事故というのは一定レベルではどうしても起こってしまうので、質を高めると同時にフォレンジック性を高めることも重要と思います。だからもちろんログを取得するのは当たり前ですが、より優れたフォレンジック性があれば、透明性は高まるでしょうね。

―その透明性というのはどういう意味においてでしょうか。

古川氏 透明性というのは、要するに密室で行われている行為についての情報開示です。そもそも医療行為自体が密室で行われていますし、カルテも医療側が保管している。デジタル・フォレンジックによって、そこで悪いことをやっても、絶対に患者が追跡できることでそれがオープンになる。そういう意味では透明性がある。密室で行われてきた医療側の行為に事後的ながらアクセスができるということです。

―そういう意味ではフォレンジック性というのは大切でしょうか。

古川氏 フォレンジック性というのは医療事故については特にそうで、密室で起こっても、後で検証できるということが必要になってきます。

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