―今後の情報伝達手段、特にソーシャルメディアの動きについてどうなるとお考えですか?
キム氏:SNSは関係性のメディアです。個人の活動が可視化され、人間関係が可視化され、その関係性の間での接点が見つかりやすくなり、 接点の上でコラボレーションが生まれやすくなります。私は数ヶ月前まではTwitterしか使わなかったのですが、最近はFacebookしか使わなくなりました。
津田氏:Facebookは本格的にきましたね。
キム氏:そうですね。Facebookを使って強く感じたのは、場の空気がネガティブな方向に行かないということですね。これはFacebookというメディアが実名主義を採用しているということで、匿名性が低く、また関係性が複合的であることに起因するのではないかと。当初、日本ではプライバシーを強く気にする日本人は実名での情報発信に抵抗し、その結果Facebookは日本では普及しないだろうという論調もありましたが、今や実名制だからこそ、顔の見える信頼性の高いコミュニケーションが出来るということでFacebookを使われている方も多いのではないでしょうか。
津田氏:TwitterはTwitterで、情報発信とかPRという意味では力を持ち続けて、新しい情報や出会いでも使われ続ける。でもそれとは違う、密度の高いコミュニケーションはFacebookで行う。今後は、TwitterとFacebookが併存して使われていくのかなと。
Facebookの利用者はすでに全世界で8~9億と勢いも強い。新しい名刺みたいな役割になっていますよね。だから、僕もFacebookは使わなければいけないと思っています。
キム氏:いまTwitterのフォロワーは何人くらいなのですか?
津田氏:いまは…20万人弱くらいですかね。
キム氏:それだと、なかなかFacebookに移行しにくいですね。
津田氏:いやぁ(笑)。両方を使い分けていければと思います。
―日本におけるITの位置づけはどう変わっていくのでしょうか?
津田氏:東日本大震災でIT企業に対する世間の見方が変わったなと思います。それまではライブドア事件とかもあり、ITというと胡散臭いと思われていました。しかし最近ではITも日本を支える産業の1つとして認知されつつある感じもします。
キム氏:産業としてどう成熟するかという予想は難しいですが、震災以降ITは生活の身近なところで使われるようになったことが大きな変化だと思います。
日本がe-Japan構想でブロードバンドを普及させて、10年近くなります。しかし普及させたインフラをどう活用するかについてはなかなか進まず、行政、医療、教育の情報化は期待ほど進まなかったのが実情でした。つまり、生活とITとの距離が遠かった。しかし東日本大震災でSNSが存在感を発揮したことで、ITが生活の一部分として定着しつつあるように思います。これは非常に望ましい傾向ではないかと思います。
2012年以降新しいアプリとか、新しい産業が躍進することはあるかもしれませんが、私個人の希望としては日常の中で、日常の何かを満たすためのいろいろな手段として使われるのが理想的だと考えています。
![]() |
| ネットメディアはさらに躍進する |
津田氏:これからは高齢者もスマートフォンなどを使うようになって、ますます日常の何かを満たすための利用が増えていくでしょうね。メディアとしてはマスメディアとソーシャルメディアの融合が止まらないでしょう。
キム氏:そうですね、その融合が建設的なものであってほしいですね。今のままだと、ネットメディアの躍進の結果、既存のマスメディアが飲み込まれる形での融合が進む可能性があるので。
津田氏:個人の情報発信者としては良い時代になってきました。
キム氏:頑張ってください。
津田氏:ありがとうございました。
![]() |
【津田大介氏 プロフィール】 |
![]() |
【ジョン・キム氏 プロフィール】 |
|---|
國中均氏 はやぶさの成功はその先のマイルストーン(2011/11/17)
樋渡啓祐氏 市役所がFacebookに?(2011/10/20)
渡辺貞 「京」プロジェクトリーダー スパコン「京」世界一への道(2011/9/22)
高橋名人 携帯ゲーム、これからどうなる?(2011/8/25)
國領二郎氏 クラウド利用の未来像(2011/7/21)
岸博幸氏 地上デジタル放送はどこに向かうのか?(2011/6/23)
【関連カテゴリ】
トレンド




注釈
*1:サイマル放送
同じ番組を同じ時間帯に、別のチャンネルや別の媒体(ネットなど)で1つのテレビ局が放送をすること。
*2:Wi-Fi
無線LANの機器同士の接続方法のうち、アメリカにある業界団体「Wi-Fi Alliance」が認証したものを指す。