月島食道楽:Cafe Bar 星時計

ランチの牛すじカレー。味噌汁、サラダ、コーヒー付きで\950

第14回「Cafe Bar 星時計」

大正浪漫漂うオシャレな店
2012/3/26

 “文楽”という伝統芸能がある。


 「人形浄瑠璃」とも呼ばれ、江戸時代に起源をたどれる人形劇である。生臭くない、端正な顔立ちの人形たちが、観客の想像力を掻き立てる不思議な世界。その“文楽”の人形遣い「三代目・桐竹勘十郎」のファンが集う店が月島にあるという。


 月島にあり、もんじゃ以外の良店を紹介していくシリーズ「月島食道楽」。14回目は、隅田川沿いにひっそりとたたずむ「Cafe Bar 星時計」を訪ねてみた。


 佃大橋を渡り、北側へ降りる。かつて佃島だったこの一帯は、近年の埋め立てで月島付近と1つの島になった。しかし旧運河に囲まれた地域は、かつての漁師町の空気をいまだかすかに残している。


 隅田川沿いにある、みりん醤油の香りが鼻腔をくすぐる佃煮屋の並びを抜けると、住宅街に「星時計」が見つかる。大きな看板も出していない、隠れ家的なお店だ。扉をあけると、レトロな、大正浪漫風の店内が見える。

アンティーク家具をそのまま使った店内。各所にアンティーク小物が飾られている
アンティーク家具をそのまま使った店内。各所にアンティーク小物が飾られている

 まるで大正時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥るアンティーク家具による内装は、美人オーナーの川上里美さんと、川上さんの祖母が趣味で収集していたものらしい。そんな瀟洒な店内には、きさくな感じの常連があつまり笑い声が絶えない。


 「“伯父”のファンの方も多くいらっしゃるんですよ」


 聞けば川上さんの父方の伯父は、紫綬褒章もされている人形遣い・三代目桐竹勘十郎。そのため星時計には地元の常連以外にも、文楽のファンが多く訪ねてくるという。


 ランチは、火・木にカレーを出している。グリーンカレーやキーマカレーなど様々な種類のカレー作っているらしいが、この日は牛すじカレーを頂いた。美味い。牛すじの煮込み加減もばっちりで…でも乗っている目玉焼きとの相性といい、なんだか懐かしい感じもするような、心を捉える味だ。曰く「文楽の呉服屋の方で『カレー名人』と呼ばれている方がいて、その方から教わりました」とのこと。なるほど。


 ちなみに月・水・金にはまぐろ丼(\1200)を出している。こちらは川上さんの父が経営している遠洋漁業の会社から特別に新鮮なものを仕入れている。鮮度もボリュームも、ばっちりの絶品だ。


 地元の人とのやり取り、ファンの方、料理の由来まで…様々な人の“縁”の結び目の中心となっている星時計。一見さんも、是非その空気感を味わってほしい。

(井上宇紀)
Cafe Bar 星時計

Cafe Bar 星時計
住所:東京都中央区佃1-2-10
電話番号:03-5547-8445
営業時間:月~金11:00~15:00 19:00~23:00
定休日:土、日(イベントで開ける場合もあり)