ソーシャルネットワーキングサービス
社会構造とコミュニケーション
2012/5/21  1/3ページ

約3万5000年前に人類が言語を獲得してから、コミュニケーションは様々な道具を通じて行われてきた。文字の獲得、印刷術、電話、ラジオ、テレビ、インターネット…。最初は極一部と、わずかな情報を、時間をかけてやりとりしていたものが、時間が経つに連れてその範囲や速度は増していく。いまではITの登場により、世界中の情報へ、双方向的に、同時に、瞬時にやり取り、アクセスができる。

 2012年現在、ITによるコミュニケーションツールの代表格ともいえる「ソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)」。SNSの登場は個人間のコミュニケーションをどう変えたのか? ひいては社会構造にどのような影響を与えたのか? 紐解いてみる。

SNS拡大の理由


 SNSはわずか10年足らずで劇的に世界中に広まっていった。特に若年層での普及の速度は目を見張るものがある。SNSは、何故ここまで急激に広まったのだろうか? 東京大学情報学環 橋元良明教授はSNSが普及した理由として1.コスト 2.ケータイと結びついたことによるユビキタス性 3.広範囲に同期送信可能 4.自分発の情報が多数の受け手に伝達される高揚・解放感 5.リアルな反応、の5つ挙げる。

もっとも代表的なSNSのひとつ「Twitter」
もっとも代表的なSNSのひとつ「Twitter」

 まず1については、電話、郵便に比べると通信にすでに固定の料金を支払っているためコストが実質0に近く、これまでのコミュニケーションと一線を画すということ。次に2だが、携帯電話は、日本やアメリカの若者の多くが所持しており、それと結びついたためにどこでも手軽に使えるユビキタス性がある。3についてはこれまでの1対1で送受信するコミュニケーションと異なり、1回の送信で広い範囲の交友関係に、さらには交友関係を通じた直接的には知らない人も含めて、同期送信が可能であるということ。つまりSNSは、短い発信で大きな成果や様々な影響効果が期待できる、通信技術の高いコストパフォーマンスを持っているといえる。


 4については、3と関連しているが、自分が書き込んだことが半無限の受け手に伝達され、自分がこれまでと比較にならないほど注目を浴びる可能性を秘めるようになり、そのことがもたらす「高揚感・解放感」が強いということだ。最後に5は文字通り、書き込みに対してリアルな反応が返ってきやすい。


 ここに挙げた中でも3~5がもたらす効果は大きく、橋元教授は「相手とのやりとりや反応などの相互作用で“自分の存在”を強く実感できたことが、SNSが受け入れられた理由だと思います。これまでのメディアでは到底、自分の存在を直接確認などはできなかったですから」と話す。


拡大によるコミュニケーションの変化


 SNS普及の理由は、だいたいわかってきた。では、コミュニケーションツールであるSNSが普及したことで、人々のコミュニケーションはどのように変化したのか? これまでにない拡散速度、匿名性などの特徴を持ち合わせるSNSは、ネガティブな面からもポジティブな面からも、これまでにないコミュニケーションの姿をあぶり出した。


 例えば近年、店員が来客者の悪口を書きこんだり、あるいは犯罪自慢のようなことを行った大学生が内定を取り消されてしまうなど、安易な書き込みで問題になるケースが目立つ。通常はまずありえない違法行為の「自白」が続く背景には、複数の原因が複雑に絡んでいる。

>>犯罪自白をしてしまう彼らの心理とは…?

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