寄稿
世界の“奇”ケータイ探訪
携帯電話研究家 山根康宏
2013/6/27  1/2ページ

【第6回】カラフルなスマホが人気のブラジル

山根康宏氏 山根康宏氏
携帯電話研究家。1964年、北海道釧路市生まれ。1998年から香港に居住し、アジア及び中国を中心に海外の携帯電話事情を研究している。年間の海外渡航日数は100日以上。著書に『iPhoneが日本に上陸する日』(技術評論社)など。携帯電話コレクターでもあり所有する端末台数は1000台を超える。

世界中に広まるスマートフォン。肌身離さず持ち歩くスマートフォンには、その国の人々の行動やお国柄などといった文化的な背景すら投影される。世界中を飛び回り携帯電話・スマートフォンを見てきた携帯電話研究家の山根康宏氏が、各地で見た特徴的なスマートフォンと、そこから見える国の背景について語ります。

急成長するブラジルの携帯電話市場

 BRICs=新興4カ国の一員であるブラジルの携帯電話市場に注目が集まっている。ブラジル国家電気通信庁によると2013年4月時点で携帯電話加入者数は約2億6500万、普及率は133%に達している。加入者総数では上回る中国やインドの普及率が100%に到達していないのに対し、ブラジルでは約9割を占めるプリペイド利用者の2Gから3Gへの乗換え需要や安価な料金を使い分ける複数回線利用が増えることから、市場は今後も成長を続けると見られている。大手4キャリアのVivo、TIM、Claro、Oiそれぞれのシェアが20~30%と拮抗していることもあり、各社の新規加入者獲得合戦も激しさを増している。


 中でもスマートフォンの需要はここ数年で一気に高まっており、大手メーカーに加えローカルメーカーも多数参入し、激しい競争を繰り広げている。IDCの調査によれば、2013年通年のブラジルのスマートフォン出荷台数は中国、アメリカ、イギリス、日本に次ぐ5位の2890万台と予想されている。しかし2017年にはその倍となる6630万台となり、イギリスや日本を追い抜き、中国、アメリカ、急台頭してくるインドに次ぐ世界4位のスマートフォン大国となる見込みだという。Facebook利用者がアメリカに次ぐ2位であることからわかるように、ソーシャルサービス人気に押されスマートフォンの購入者は今後低所得者層にも広がっていくだろう。データ料金も値下げが続いており、2.5G接続ならば1日わずか20セント前後で定額利用が可能だ。


 ブラジルで販売されているスマートフォンを見ると、他国ではAndoroidとiPhoneが互角の戦いを演じているのに対し、高い関税の影響もありiPhoneのシェアはスマートフォン全体で0.4%しかないという。そういえばブラジルでは2000年にiPhoneの商標を取得していた地元企業のGradienteが2013年2月にiPhoneという名前のAndroidスマートフォンを発売した、というニュースが話題になったこともあった。さすがに同製品をオリジナルと間違えて買うブラジル人はいないだろうが、iPhoneのシェアは低くともそれだけブランド力を持った製品であるということの現われだろう。

中南米向けの中小端末メーカーも増えている。それら中小メーカーは大手メーカーと差別化を図るために、低価格化はもちろんのこと、端末の外見にも特徴を持たせた製品が多い。ぱっと見てすぐにわかるのだが、カラフルなボディーの製品が多いのである。
中南米向けの中小端末メーカーも増えている。それら中小メーカーは大手メーカーと差別化を図るために、低価格化はもちろんのこと、端末の外見にも特徴を持たせた製品が多い。ぱっと見てすぐにわかるのだが、カラフルなボディーの製品が多いのである

 ブラジルではAndroid OSのシェアが高く、スマートフォン全体の過半数以上を占めている。それに次ぐのがNokiaの約3割とのことだが、今後は低価格な中国産のAndroidスマートフォンの割合が急激に増えることが予想され、苦戦を強いられるだろう。実際にブラジルや中南米に携帯電話を販売する中小のローカルメーカーの数も年々増えている。2013年5月にアメリカ・ラスベガスで開催された通信系のイベント「CTIA Wireless 2013」にも中南米をターゲットにした端末メーカーが多数出展を行っており、通信キャリアや量販店などと活発な商談を行っていた。

>>陽気なブラジルらしいカラーバリエーション

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