寄稿
デジタルメディアの世界潮流を読み解く
ジョン・キム 慶応大学大学院准教授
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2011/6/13  1/2ページ

【第1回】ソーシャルメディアへの流れが止まらない

ジョン・キム氏 ジョン・キム氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授。1973年韓国生まれ。日本に国費留学。BSフジ「プライムニュース」ブ レインキャスター。今年3月までハーバード大学インターネット社会研究所で在外研究。新著に『逆パノプティコン社会の到来』(Discover 21)。

FacebookやTwitterを中心にデジタルメディアの存在感は増していくばかりです。日本、米国をはじめ、世界のデジタルメディア事情について、ジョン・キム慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授に解説をしていただきます。第1回目は勢いを増すソーシャルメディアの流れや影響についてです。

異端から主流となったソーシャルメディア

 ウェブはGoogleの検索エンジンに象徴されるデータウェブからFacebookやTwitterに象徴されるソーシャルウェブの世界へと変容している。検索機能は今後も洗練され、ウェブの中核機能として残っていくだろうが、ソーシャルウェブへのパラダイムシフトはここにきて疑いのない事実になりつつある。


 それにしてもあっという間のパラダイムシフトであった。一般的に“パラダイムシフト”というのは、メインストリームにおける「異端 (anomaly)」が検知されることから始まる。その異端が「主流 (mainstream)」になっていくプロセスというのは、既存の権威と対立するある種の闘争的で政治的な過程である。その過程を経て、異端が持つ社会的な価値が認められ、徐々に味方を増やしていき、主流の支持者を超えたとき、異常は「新たな主流」となり、パラダイムシフトは完成する。

Facebookの登場

 このソーシャルウェブへのパラダイムシフトを先導しているのが Facebookである。Facebookが登場したのが2006年。5 年あまりで世界人口の約1/10に当たる6億人の会員を確保した。人口規模で言えば、世界第3位の(仮想)国とも言える。調査対象の132ヶ国の中で115ヶ国においてFacebookが現地の SNSを抑え、 1位に輝いている。

図1、米国における主なソーシャルメディアの訪問者数推移
(出典:ニールセン・ネットレイティングス調べ)
図1、米国における主なソーシャルメディアの訪問者数推移
(出典:ニールセン・ネットレイティングス調べ)

 Facebookは実名主義を採用しているため、理論的には6億人の会員は実名を使用している。実名主義は、現実世界の関係性が仮想世界にそのまま移植・拡張する効果を持つ。実名主義はビジネス活用の価値という面でも大きく貢献する。ユーザがFacebookに滞在している間の全ての行動履歴は、Facebookのサーバ上に保存される。それが潜在的には分析され、活用されることになる。Facebookはプライバシーの問題などを抱えているものの、個別のユーザの趣向に合わせた非常に精度の高いマーケティングが展開される可能性を秘めている。ここに来て一般企業の方も、Facebookの広報・マーケティング的な可能性に注目し、その活用方案の道を積極的に模索している。

>>Facebookの登場とその影響力とは?

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