Bookshelf ~今月の本

『平安のゴッドファーザー 平清盛』

平安のゴッドファーザー 平清盛_著:加来耕三

著:加来耕三
経済界新書

\840/238ページ
発売日:2011年12月15日

2012/4/5

信長を思わせる平清盛のリーダー像


 「おごれるものも久しからず ただ春の夜の夢のごとし」。『平家物語』では悪役に描かれ、一方のNHK大河ドラマでは荒削りでワイルドながらも情に熱い平清盛。ドラマ化でにわかに注目を集めるが、清盛を取り巻く人間関係はにわかに分かりづらくもある。

 本書では歴史家の加来耕三氏が、平清盛を軸に平安末期の複雑な歴史背景を分かりやすく紹介。清盛を取り巻く多くの人物も丁寧にひも解きつつ、「情と絆」を備えた平家の“ゴッドファーザー”としての清盛像を浮かび上がらせている。

 加来氏は清盛が出世し平氏の繁栄を築いた理由に、「公家に対する不平・不満」「徹底した合理主義」「周囲の対する徹底した気配りと情報収集能力」等を挙げる。そのリーダーとしての姿は、後の戦国時代に天下をほぼ手中に収めた織田信長を思わせるという。

 後半では平氏の覇権を決定的なものにした保元・平治の乱の顛末、平氏打倒を果たした源頼朝についても語られる。時に現代の会社組織にもなぞらえつつ、解説は平易かつ明快。歴史の基礎知識に乏しくても入り込める一冊だ。

(薬師寺敏雄)