Bookshelf ~今月の本

『ほまれ』

ほまれ_著:澤穂希

著:澤穂希
河出書房新社

\1680/222ページ
発売日:2008年7月23日

2011/11/10

多くの困難に打ち勝ったなでしこの主将、澤穂希の自伝


 2011年7月のFIFA女子ワールドカップドイツ優勝、同9月のロンドン五輪出場権獲得が記憶に新しいなでしこジャパン。本書は主将としてチームを牽引する澤穂希選手が2008年8月開催の北京五輪を目前に、自身のサッカー人生を振り返り、未来への抱負を語ったものだ。

 その半生は苦難の連続だ。男子に交じってもチームの主力だったにもかかわらず、女子であるため規定で出場できなかった少年サッカーの東京都大会。20歳の時には不況と女子サッカーの人気低迷でプロ契約を打ち切られた。米国移籍に活路を見出したが、そこで襲われるホームシック。アテネ五輪予選では出場権が懸かる試合を前に、右ひざに大けがを負った。

 そのような数々のピンチの中、時には少ないチャンスを見出し、時には強い精神力を発揮して、道を切り開いていく。北京五輪の時に「苦しい時は私の背中を見なさい」と仲間を鼓舞したという彼女の言葉は、多くの困難を乗り越えてきた経験に裏打ちされたものであるということが、本書から強く感じられる。

 澤選手の生きざまを読めば、サッカーに限らず様々な局面で困難に打ち勝つためのヒントが得られるだろう。そして、何よりも女子サッカーをもっと応援したくなる。

(薬師寺敏雄)